研究課題/領域番号 |
21K03639
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17010:宇宙惑星科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
家田 章正 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 助教 (70362209)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 酸素 / オーロラ爆発 / 電荷交換衝突 / 電離圏 / 磁気圏 / 磁気圏尾部 / 酸素イオン / 磁気再結合 / プラズモイド |
研究開始時の研究の概要 |
オーロラは大気の発光であり、地球では数時間に一度、爆発的に増光する。このオーロラ爆発は、地球磁気圏に蓄積した磁気エネルギーが、突発的に解放される過程の投影である。このエネルギー解放の機構は、磁力線をつなぎ替える磁気再結合であると考えられている。しかし、磁気再結合が発生しても、オーロラ爆発は必ずしも発達しないことが、応募者の研究でわかってきた。この不対応を理解するために本研究では、磁気圏プラズマの主成分である水素イオンに加え、水素イオンより質量が16倍も重い酸素イオンに着目する。本研究の目的は、地球磁気圏尾部の酸素イオンが磁気再結合・オーロラ爆発におよぼす影響を観測的に解明することである。
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研究実績の概要 |
オーロラは大気の発光であり、地球では数時間に一度、爆発的に増光する。このオーロラ爆発は、地球磁気圏に蓄積した磁気エネルギーが、突発的に解放される過程の投影である。このエネルギー解放の機構は、磁力線をつなぎ替える磁気再結合であると考えられている。しかし、磁気再結合が発生しても、オーロラ爆発は必ずしも発達しないことが、応募者の研究でわかってきた。この不対応を理解するために本研究では、磁気圏プラズマの主成分である水素イオンに加え、水素イオンより質量が16倍も重い酸素イオンに着目する。本研究の目的は、地球磁気圏尾部の酸素イオンが磁気再結合・オーロラ爆発におよぼす影響を観測的に解明することである。本年度は、地球近尾部における磁気再結合の夕側への偏在を明らかにした。地球磁気圏近尾部における磁気再結合は、オーロラ爆発の原因である。Geotail衛星はプラズモイドの観測により、磁気再結合の夕側偏在を発見した。この夕側偏在は、ホール電場が原因であることを、後のシミュレーションが示唆した。しかし、近年、水星の磁気再結合は朝側に偏在することが、観測により示唆されている。本研究では、地球近尾部の高速プラズマ流の朝夕位置について、過去の統計結果を再解釈した。その結果、夕方偏在は、尾部向き高速流では一般的だが、地球向き高速流では不明瞭であった。従って、磁気再結合は水星においても夕側に位置している可能性がある。この仮説は、2025 年に水星周回を開始するBepiColombo Mio衛星により検証することができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在まで、MMS衛星のデータベースの構築を行い、地球磁気圏尾部におけるプラズモイドのイベントリストの作成を行った。MMS衛星の酸素イオンデータ自体に不具合が見つかったため、プラズモイドのイベントは20%程度少なくなるが、研究計画に致命的な影響はないことが見込まれる。また平行して、酸素原子と酸素原子イオンの衝突断面積の解明を行い、次の題名の論文として発表した:Ieda, A. (2022). Curved trajectory effect on charge-exchange collision at ionospheric temperatures. Journal of Geophysical Research: Space Physics, 127, e2021JA029612. https://doi.org/10.1029/2021JA029612。 この研究成果は、電離圏から磁気圏への酸素の流出を定量的に解明するために必要であり、本研究計画において重要である。さらに、地球近尾部における磁気再結合の夕側への偏在を明らかにし、次の題名の論文として出版が決定した:Ieda A and Miyashita Y, Duskward displacement of plasmoids and reconnection in the near-Earth magnetotail. Earth, Planets and Space, 2024, in press, doi:10.1186/s40623-024-02003-w。
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今後の研究の推進方策 |
酸素原子と酸素原子イオンの衝突断面積モデルを作成することにより、磁気圏における酸素イオン密度の議論を行う準備をする。その後、MMS衛星取得の磁場・プラズマデータを用いて地球磁気圏尾部におけるプラズモイドの酸素イオン密度を解明する。さらに、この酸素イオン密度と、地球電離圏におけるオーロラ爆発の規模との関係を明らかにする。この解析において、酸素イオン密度の朝夕非対称性に注意する。予想される結果は、プラズモイドの酸素イオン密度は、プラズモイドの速度には相関しないが、オーロラ爆発の規模とは相関することである。
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