研究課題/領域番号 |
21K03645
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17010:宇宙惑星科学関連
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
近藤 光志 愛媛大学, 宇宙進化研究センター, 助教 (30304653)
|
研究分担者 |
新田 伸也 筑波技術大学, 障害者高等教育研究支援センター, 准教授 (30377121)
清水 徹 愛媛大学, 宇宙進化研究センター, 准教授 (60196524)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 非対称磁気リコネクション / 磁気流体計算 / 実衛星観測 / 磁気シア / 磁気圏境界 / 太陽フレア |
研究開始時の研究の概要 |
プラズマ中では、反対方向を向いた磁場同士が繋ぎ変わることで磁場のエネルギーが解放される磁気リコネクションと呼ばれる爆発現象が起こる。宇宙空間には、地球磁気圏と太陽風のように異なる磁化プラズマが接する領域が多く存在し、このような領域では、繋ぎ変わる両側の磁場強度や熱力学量などの異なる非対称磁気リコネクションが起こりうる。この非対称磁気リコネクションについては、2016年以来の我々の研究によって、非対称磁気リコネクション特有の大規模構造が明らかになった。本研究では、より現実的な宇宙環境に適用し、明らかにしてきたリコネクションモデルを太陽側地球磁気圏境界における実衛星観測データを用いて検証する。
|
研究実績の概要 |
1. 二次元非対称磁気リコネクション数値計算の総括 二次元非対称磁気リコネクションの数値計算結果をより一般的な磁場の非対称性とシア磁場を共に考慮した物理環境において総括した。主な具体的な成果として、1)プラズモイド前面に形成される衝撃波は、磁場非対称度とシア角度に大きく依存し、一定の大きさ以上になると形成されなくなる。2)プラズモイドは電流層に対して非対称に形成され、より長い側のプラズモイドに接触不連続面が形成される。3)磁気リコネクション率の磁場非対称度およびシア角度依存性を明らかにした。 2. GEOTAIL衛星データを用いた昼側地球磁気圏境界環境の時空間変動の調査 簡単のため計算領域全体に等温仮定を主に用いてきたが、典型的な磁気シースプラズマは低温高密度であることが知られている。より現実的な環境に適用するため、GEOTAIL衛星の観測データを用いて非対称磁気リコネクション環境の時空間変動を調査した。その結果、短期的な変動と変動幅の東西方向の依存性を示した。 3. THEMIS衛星データを用いた昼側地球磁気圏境界における非対称磁気リコネクション構造 数値計算結果を検証するため、磁気圏境界層内の観測を行うのに十分な時空間解像度を持つTHEMIS衛星群の観測データを用いた。リコネクションジェットを観測したイベントを同定し、磁場反転時刻を基準にすることで、リコネクション構造内の衛星の通過領域を特定することに成功し、逆に言えば、数値計算結果の検証を行うことに成功した。 4. 三次元非対称磁気リコネクション数値計算 三次元数値計算では、現実に近い有限長の磁気リコネクション線を取り扱うことができる。この有限長の効果により、初期電流層プラズマから構成されるプラズモイドコアとそれを覆うプラズモイドの拡がりの違いを示し、二次元計算では説明できなかった観測特徴を説明することに成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、シミュレーション空間に配置した仮想衛星による磁気圏境界通過時の観測結果を実衛星による観測データと比較することで、実衛星の通過領域を判別し、我々のモデルを検証することを目的としている。 現状、二次元非対称磁気リコネクションのシミュレーション空間内での仮想衛星観測結果とTHEMIS衛星群による観測結果の比較により、二次元計算で明らかにした非対称磁気リコネクション構造の検証を行い、THEMIS衛星が通過したリコネクション領域を同定することに成功し、二次元モデルの正当性を示すことができている。一方、三次元非対称磁気リコネクションの数値計算については、大規模計算はできていないものの、三次元構造特有の問題について明らかにできている。
|
今後の研究の推進方策 |
1. GEOTAIL衛星観測データにより得られた磁気圏境界環境に基づいた数値計算 初期等温仮定と初期温度比一定仮定による数値計算結果の違いの調査を行い、二次元モデルをアップデートする。 2. 高精度数値計算とTHEMIS衛星観測データによる比較検証 数値計算で得られた詳細な構造の検証を行う。特に、これまでは簡単のため、電流層に対して衛星が垂直に通過することを仮定しているが、今年度は、詳細な検証結果を用いてリコネクション構造に対する衛星の通過方向などの特定を目指す。 3. 三次元数値計算の大規模化 二次元計算では、リコネクション構造が相似的に拡大するフェーズまでを計算し、安定した構造に基づいて二次元モデルを構築してきた。本年度は、可能な限り同様なフェーズにおける三次元効果を調べる。
|