研究課題/領域番号 |
21K03655
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17020:大気水圏科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
中村 知裕 北海道大学, 低温科学研究所, 講師 (60400008)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 海洋物理 / 渦 / 渦対 / 物質輸送 / 河川水 / 潮流 / 渦潮 / 乱流 / 沿岸から外洋への輸送 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、沿岸から外洋へ河川水・物質を効果的に輸送する「渦対」について調べる。沿岸は、陸や人と外洋のインターフェースであり、多くの陸・人為起源物質が沿岸を介して外洋へ広がる。渦対は、2つの渦がペアとなり、互いに互いを同じ方向へ動かすことで「自走」する。そのため、渦中の水や物質を遠方まで輸送する。しかも河川水流出により形成される渦対は、流出物質の多い大規模出水時に生じるため、二重に効果的な物質輸送が生じうる。しかし、従来の研究はこのような状況を想定していない。そこで数値実験により、新たな渦対像の構築を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、沿岸から外洋へ河川水・物質を効果的に輸送する「渦対」について、その力学と輸送・混合効果の解明を目的とする。沿岸は陸や人と外洋のインターフェースであり、多くの陸・人為起源物質が沿岸を介して外洋へ広がる。渦対とは、互いに逆向きに回転する渦がペアとなったもので、渦に伴う誘導速度で互いに相手を同じ方向に動かし「自走」する。渦対は、この「自走」により水を遠方まで輸送できる。海洋では、狭い海峡を速い潮流が流れると、海峡下流にジェットができ、その両側に渦対がしばしば形成されることが知られている。 本年度は、(1)鳴門海峡の渦対についての論文執筆、(2)厚岸湾での渦対・渦潮の観測、(3)河川水流出を想定した数値実験、を行った。 (1)鳴門海峡は、潮流が速く、渦潮・渦対が形成される。この渦対の発達・進行に海底地形・沿岸形状・密度成層が与える影響を調べ、論文にまとめた。2023年度はじめに投稿予定である。(2)厚岸湾では、引き潮時に河川水・湖水が厚岸湾に流れ出し、物質を輸送するとともに、厚岸湖の水を入れ替える。現場観測と衛星画像から、引き潮に伴う流出時に、ジェットと渦対そして鳴門の「渦潮」と似た小さい渦の列が形成されることが明らかになった。本年度は渦対等に伴う河川水・物質輸送に注目し現場観測を行った。(3)衛星画像から、河川水流出でも渦対が形成されることが示唆された。そこで、河川水流出による渦対形成の条件を明らかにするため、数値実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実施した数値実験の数は計画より若干少ないが、(1)形成・進行に対する地形と密度成層の影響を明らかにし、(2)河川水流出に伴う渦対の形成条件の手掛かりを得られた。加えて、厚岸において渦対・ジェット・渦潮を見つける、渦と内部波の相互作用を明らかにするなど、興味深い結果を得た。以上より、概ね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に行えなかった数値実験を行うとともに、計画通り渦対による河川水の輸送を調べるための数値実験を引き続き実施する。また、結果をまとめて論文に投稿していく。
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