研究課題/領域番号 |
21K03665
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17020:大気水圏科学関連
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研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
端野 典平 高知工科大学, 理工学群, 准教授 (10766520)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 混合相 / 層積雲 / 北極 / 雲物理 / 乱流 / 数値実験 / 雲降水 / 混合相層状雲 / 高解像度数値実験 |
研究開始時の研究の概要 |
北極圏では0度以下の気温において液体の雲粒子と氷の粒子が混在している雲(混合相の雲)がよく観測される。この雲は地表面付近に存在することが多く、赤外放射により地表面を暖める役割があり、海氷の形成を考える上で重要である。しかし雲粒の核となるエアロゾル粒子の数や性質に大きく依存するとされ、また雲内の上昇流、下降流の空間的広がりが小さいため、気象や気候モデルで再現することは容易ではない。本研究では夏期の北極を想定し、風の高さ方向の分布がどのように混合相の雲に影響を与えるか、数値モデルを用いて調査する。
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研究実績の概要 |
本年度は、MOSAiC観測実験のデータのうち、レーダ観測量に着目して混合相層状雲の特徴を解析した。先行研究ではObukohov長と境界層高度の比を用いると、ロール状とセル状に分類できることが知られている。全期間のうち、特徴的な2つの事例について、レーダ館測量の2次元プロットを作成した。
平均ドップラー速度とレーダ反射因子の同時頻度分布によると、ロール状の雲の場合、平均落下速度の分布が0m/sを境にほぼ対称となる。一方、セル状の雲の場合は、負の値に多くのサンプルが存在する結果となった。これらは雲の中の鉛直流の強さに関係しており、ロール状のほうが上昇流が強いことが推測される。これは昨年度の結果である、ロール状の雲のほうが雲氷鉛直積算量と雲水・雲氷鉛直積算量の比が大きいことと対応している。ドップラー速度のスペクトル幅とレーダ反射因子の同時頻度分布をみると、ロール状では反射因子の増加とともにスペクトル幅も大きくなる傾向が見られた。ロール状では粒子の成長と粒径分布の広がりが対応していることが推測される。一方、セル状ではスペクトル幅は反射因子とともに減少する傾向があった。
セル状、ロール状の分類は、浮力の大きい陸上の雲の観測に基づいている。ここでは上記の結果から、レーダ反射因子とドップラー速度の同時頻度分布に基づいて、雲を分類したときに、水平風の鉛直分布はどのような特徴があるのか、調査した。すべての長寿命混合相層積雲の水平風の鉛直分布についてEOF解析を実施したところ、ロール状のレーダ観測に対応するサンプルは、第2モードの値が大きくなる傾向がみられた。つまり、水平風の風速の鉛直プロファイルとレーダ観測には関係性がある程度見られる結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度の遅れの影響で、1年、予定が遅れているが、レーダ観測について詳細に調査する必要があったため、数値実験を来年度に行うこととした。
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今後の研究の推進方策 |
今年度、抽出した事例について、数値実験を行い、雲の形態と雲微物理の関係、鉛直シアの役割を調査する予定である。
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