研究課題/領域番号 |
21K03667
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17020:大気水圏科学関連
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研究機関 | 気象庁気象研究所 |
研究代表者 |
藤田 匡 気象庁気象研究所, 気象観測研究部, 併任(第四研究室) (50847283)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | データ同化 / 流れに依存する背景誤差 / 多重スケール / 高頻度高密度観測 / ドップラー速度 / 衛星大気追跡風 / 観測誤差相関 / ウェーブレット / ハイブリッド四次元変分法 / 変分法 |
研究開始時の研究の概要 |
激しい気象現象においては、局地的に集中した現象そのものの小さいスケールの気象場から、現象が発生する気象条件を与える大きいスケールの環境場に至る、広範囲にわたるスケールの現象が重要な役割を果たす。近年の気象観測技術の発展により、高い時空間解像度とともに時間空間的な広がりを持つ多様なスケールの情報を含む膨大な観測データが取得可能となっている。本研究では、これらを数値シミュレーションによる顕著現象の再現や機構解明に最大限に活用するためのデータ同化技術の高度化を目指す。観測誤差の時間空間相関を考慮した上で、「流れに依存する背景誤差」をウェーブレット空間で構成し、スケールに応じて有効な情報を抽出する。
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研究実績の概要 |
高頻度高密度であると同時に広域に分布する観測データから、大気に関する広範囲のスケールの情報を抽出して有効に活用するため、多様なスケールを考慮するための変分法データ同化の高度化に取り組んでいる。 これまでに、多重スケールを扱うデータ同化手法として、ウェーブレット空間で制御変数を構成するハイブリッド四次元変分法を開発し、実事例での実験を行うための改良を行った。また、以前に実装したドップラーレーダードップラー速度に加え、衛星大気追跡風についても、高頻度高密度観測データを扱うための観測誤差相関を考慮した同化に対応するための拡張を行った。このように整備した多重スケールを扱うデータ同化システムを用いて、実事例で高頻度高密度でかつ広域に分布する観測データの同化実験、性能評価などを行った。 2022年度末にこれらの主要成果について論文の形にまとめたが、より条件をそろえた実験等による精緻化の後、2024年度以降の投稿を目指す。一方、同成果について日本地球惑星科学連合2023年度大会で発表した。 そのほかの関連する研究での取り組みとして、広域に分布する静止気象衛星疑似観測データの顕著現象における効果の分析を含む、ひまわり後継衛星搭載測器のインパクト調査の論文は、受理、出版された。また、従来の四次元変分法を用いた、異なるスケールを持つ観測データ(衛星大気追跡風とドップラー速度)による複合的なインパクトの分析の研究については、気象学会2023年度春季大会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画では、2021年度は単純な矩形ウェーブレットによるスケール依存同化の検討(単一レーダーサイトドップラー速度同化実験)、アンサンブルによる背景誤差のノイズ特性調査、2022年度はより実用的な滑らかなウェーブレットへの拡張、衛星などレーダードップラー速度以外の観測データへの観測種別の拡張、2023年度は拡張したシステムでの性能調査を計画していた。 2022年度までにこれらの調査を概ね実施し成果を論文の形にまとめたものの、再実験による精緻化等を行った上での投稿を2024年度以降の課題とした。主要成果の論文発表が遅れており、やや遅れている、と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、条件をより整えた実験を実施する等、結果をより精緻化して論文を改訂した上で投稿するなど成果発表を行う。
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