研究課題/領域番号 |
21K03670
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17020:大気水圏科学関連
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研究機関 | 気象庁気象研究所 |
研究代表者 |
水田 亮 気象庁気象研究所, 気候・環境研究部, 主任研究官 (80589862)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 地球温暖化 / 高解像度気候モデル / 極端降水 / 大雨 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、洪水災害や土砂災害をもたらすような大雨の頻度や強度が地球温暖化に伴ってどの程度変化するかについて、変化を量的に規定しているプロセスを解明することを目指す。大雨は発生地域・発生頻度・空間スケール・時間スケールによって予測される変化量が異なることがわかっているが、世界各機関の多数の高解像度気候モデル実験結果を比較・解析することで、それらの違いがどのような要因で生じているかについて調べる。
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研究実績の概要 |
本研究では、大雨の頻度や強度が地球温暖化に伴ってどの程度変化するかについて、変化を量的に規定しているのはどのようなプロセスであるかを解明することを目的としている。当該年度においては、研究代表者のグループで実施した、水平解像度20kmと60kmで20世紀中頃から21世紀末までの150年間の連続シミュレーション結果について解析を行った。とくに熱帯アメリカとパナマにおける極端降水量の将来変化を調べた。熱帯アメリカは季節平均降水量は減少しているが、年間最大日降水量は増加傾向にある特徴的な地域である。シミュレーションされた将来の気候では、パナマ東部で12月~2月の降水量が増加し、太平洋沿岸に近い西部で6月~8月の降水量が減少した。年間最大日降水量はパナマ東部で増加した。熱帯アメリカの年平均最大日降水量は10年周期で変動し、全球平均と類似しているが、その振幅は小さかった。パナマの日降水量の年平均最大値は、10年平均でも大きな変動を示した。熱帯アメリカでは、日降水量の年平均最大値は、代表的な濃度経路シナリオに依存しない地表面気温との線形関係を持つが、パナマではそのような関係が見られなかった。過去のシミュレーションでは、熱帯アメリカの年平均日最大降水量と年平均地表面気温の時間相関は、エルニーニョ/南方振動の負偏差時の海面水温偏差と類似した地理的分布を示したが、将来のシミュレーションではそうではなかった。パナマの年平均日降水量と地表面水温の相関は、過去の実験でも将来の実験でも、熱帯域の年平均日降水量と地表面水温の相関に類似した分布を示した。このことから、パナマの年最大日降水量は、過去の気候で観測されたように、将来、負のエルニーニョ現象発生時に増加すると予測されることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は高解像度気候モデル相互比較プロジェクトの下で世界各機関が行った全球の高解像度予測モデル実験結果を中心的に用いる計画だったが、研究代表者のグループで実施しているシミュレーション結果を組み合わせ、季節や地域、大雨をもたらす現象による差異についても考慮した解析を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
水蒸気量増加を超えて大雨の強度が増加する場合のプロセスの評価について、 世界各機関が行った全球の高解像度予測モデル実験結果のモデル間の差異や、温暖化の進行程度による変化の差異についても考慮しながら解析をすすめる。
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