研究課題/領域番号 |
21K03672
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17020:大気水圏科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
宮澤 泰正 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(アプリケーションラボ), ラボ所長代理 (90399577)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 機動的な船舶観測 / データ同化 / 四次元アンサンブル変分法 / アンサンブル誤差共分散 / アンサンブル感度解析 / 水産観測 / 海流予測 / 機動的観測 |
研究開始時の研究の概要 |
高分解能海洋数値モデルの予測を用いて対象擾乱の最大予測感度海域を算出し事前にピンポイントで観測することで対象擾乱を把握する手法を確立する。具体的には、土佐湾で生じる「二枚潮」と呼ばれる未解明現象を対象として船舶機動観測とモデルを組み合わせた擾乱の予測シミュレーションを可能とすることで、擾乱の海洋物理的な特徴を解明する。人工衛星や海洋フロート・ドローンなどで構成される自動観測網とこれを基盤とした高分解能海洋モデルの発展を前提として、有人船舶観測の新たな能動的役割を創造する。
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研究実績の概要 |
2023年9月、10月、12月、2024年1月の計4回、高知県水産試験場漁業調査船「土佐海洋丸」による四国沖観測を実施した。前年度に引き続き、取得した水温・塩分データを海流予測モデルJCOPE-T DAにデータ同化し予測更新を継続した。黒潮流軸が接岸傾向にあり観測が流軸を把握したため、同化していない流速観測データ(16m以深)とモデルの結果との相関は平均で0.75と比較的良好であり、モデルが現実の黒潮流軸を良く表現できていたことが示唆される。開発した四次元アンサンブル変分法予測システムについては、前年度の検証期間(2020年2月28日~2020年12月18日)を対象とし、予測スキル評価、および背景誤差共分散のアンサンブル近似の予測スキルに与える効果をアンサンブル感度解析によって理解することを主要な論点とした論文を投稿し査読を受け、さらに改訂版を投稿した。その後、予測システムの現業化を進め、2023年6月に8日に1回の予測更新を開始し、2023年度末まで継続した。現業的予測システムは、NCEP Climate Forecaste System Version 2(CFSv2)季節予測システムによる海上気象要素によって駆動する22メンバーの初期値アンサンブル予測、CFSv2の月平均気候値によって駆動する22メンバーの初期値アンサンブル、およびCFSv2海上気象要素アンサンブルによる20メンバーのアンサンブル予測を生成するものである。予測結果と現況を比較してモデルを改良した。予測では黒潮大蛇行の中核をなす冷水塊の切離によって黒潮大蛇行が消滅する結果が時々みられた。風応力の強度、同化パラメータ、粘性など種々の要素の感度を検討したが、黒潮大蛇行を維持するため水平調和粘性項を付加することが必要であった。これは用いている現状の海流モデルにおいて力学的散逸が不足していることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予測システムの現業化において、現実的な黒潮流軸変動を表現するためのモデル改良に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
リアルタイムの予測実験によってモデルバイアスの特徴が明らかになったので、バイアスの原因をさらに調査し、改善する。これをふまえて現業予測実験を進め、現場観測との連携を強化して、擾乱把握についての知見を得る。
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