研究課題/領域番号 |
21K03681
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17030:地球人間圏科学関連
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
ウ ティン 岐阜大学, 工学部, 准教授 (50789774)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 冬季雷 / 強帰還雷撃 / 巨大落雷 / 機械学習 / 雷三次元可視化システム |
研究開始時の研究の概要 |
日本海沿岸に多く発生する冬季落雷は送電鉄塔や大型風車等の施設に大きな被害をもたらしている。被害の最大要因は夏季落雷ではほぼ存在しない200kA以上の巨大なピーク電流を持つ落雷や、夏季落雷より100倍以上の巨大なエネルギーを持つ落雷が冬季に頻繁に発生するためである。本研究は応募者らが開発した雷放電路三次元可視化システムを高度化して、巨大落雷のメカニズムを解明すると共に、巨大落雷の予知技術を確立して雷災害を低減することを目的としている。
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研究実績の概要 |
本年度は主に(1)強い正極性雷撃の解析・論文発表、(2)機械学習を用いて帰還雷撃の自動識別方法の開発を行った。 (1)冬季に観測された700例ぐらいの正極性帰還雷撃の強さについて詳細な解析を行った。正極性帰還雷撃は夏季雷雲には多く発生しないため、このような大量な事例の解析は世界でも珍しい。この研究で初めて判明したことは主に: ①正極性帰還雷撃の強さは帰還雷撃の電界変化波形と深くかかわる。②強い正極性帰還雷撃は雷始まった後すぐ発生する傾向が強い。これは強い正極性帰還雷撃の発生時、雷雲下非常に強い電場の存在を示唆する。③正極性帰還雷撃が強いほど、直前のリーダパルスも強い。そしてこの傾向は海に落ちた雷撃のほうが強い。④強い正極性と負極性帰還雷撃の比較を行った。強い負極性帰還雷撃と比べると、正極性のほうが全体的にもっと強い。そして、海に落ちる可能性は高い。しかし、強い正極性帰還雷撃は負極性のような異常な電界変化波形を生じない。⑤強い正極性帰還雷撃は正負電荷層逆転型の電荷構造とかかわり、正電荷層が非常に大きいという可能性が高い。これらの結果から強い正極性帰還雷撃の発生条件は雷雲下非常に強い下向きの電場が存在することが明らかになった。この研究成果は既に論文にまとめて国際学術誌に発表した。 (2)もっと大規模な解析を行うため、高精度の帰還雷撃自動識別方法の確立が必要である。現在主流の自動識別方法の精度は90%ぐらい留まっている。本研究では大量の観測データをもとに、機械学習の手法を用いて高精度の自動識別方法の確立を目指す。本年度は既に識別方法の開発を完了し、負極性帰還雷撃の識別精度は98%以上に達することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度の強い負極性雷撃に関連する成果の発表に続いて、本年度は強い正極性雷撃に関連する成果も発表した。本研究の計画通り研究が着実に進んでいる。また、機械学習を用いた帰還雷撃の自動識別方法もほぼ完成したので、今後はこの方法を利用して帰還雷撃についてもっと大規模な解析を行い、更に多くの成果が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
(1)広域FALMA観測ネットワークの観測サイトを更に増やして、長期間、広範囲の観測データを蓄積する。 (2)帰還雷撃の自動識別方法を更に改良し、正極性帰還雷撃及び冬季の特殊な帰還雷撃も高精度で識別できるようにする。 (3)高精度の自動識別方法を利用して、夏季と冬季両方の観測データから帰還雷撃を検出し、大規模な解析を行う。
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