研究課題/領域番号 |
21K03695
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中井 俊一 東京大学, 地震研究所, 教授 (50188869)
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研究分担者 |
三好 雅也 福岡大学, 理学部, 教授 (50557353)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 阿蘇火山 / ウランートリウム放射非平衡 / 地殻同化作用 / ザクロ石 / ジルコン / 沈み込み火山 / ウラン―トリウム放射非平衡 / 九州 / 火山 / 沈み込み / 阿蘇 / 部分溶融度 / フィリピン海プレート |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,テクトニクス環境の違いが火山岩に異なる地球化学的特徴を与えているかを,主にウラン-トリウム放射非平衡トレーサーにより検証する.本研究では,フィリピン海プレートの若く温かい部分が沈み込む九州北部地域,古く冷たい部分が沈み込む九州南部地域,マントル上昇流を起源とする火山が存在する東シナ海地域の代表として,それぞれ阿蘇山,開聞岳,福江島を選び,ウラン-トリウム放射非平衡を分析し,放射非平衡に影響を与える海洋地殻から搾り出された流体,海洋地殻の溶融,海洋地殻上の堆積物の溶融,マントル上昇流などの要因について検討する.
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研究実績の概要 |
阿蘇,霧島,開門など九州の諸火山で噴出した玄武岩の,238ウラン-230トリウム間の放射非平衡の分析を続けてきた.伊豆弧などの沈み込み地域の火山での火成岩と異なり,(230Th/238U)の放射能比が1より大きくなっている試料が殆どであることを確認した.この原因について,阿蘇火山の試料を中心に考察した.4千年より後に噴火した試料では,ウラン/トリウムの濃度比が,二酸化ケイ素の濃度に従って,49%から51%の区間で低下し,それ以上の区間ではほぼ一定になることが明らかになった.また(230Th/232Th)の放射能比が,それぞれの区間で,増加,減少し,ふたつの変化が合わさって放射非平衡を生み出していることが明らかになった.玄武岩マグマから晶出する鉱物では,ウラン/トリウムの濃度比を大きく変化させる鉱物は考えにくいため,地殻の同化作用の影響を受けていると推察している.希土類元素のランタン/イッテルビウムの濃度比にも同様の変化が認められた.公開されているマグマ溜まりの化学進化のシミュレーションソフトウェアを用いて,地殻の同化作用により,観測された濃度比の変化が再現できるかを検討している.地殻中のザクロ石やジルコンが地殻溶融に関与すると,上記の観測結果が生じる可能性がある.地殻のジルコンが関与した場合,ジルコンの主成分元素である,ハフニウムの同位体比が,噴出した溶岩に影響を与える可能性があるため,同位体比分析を行ったが,二酸化ケイ素濃度の変化によるハフニウム同位体比の変化は認められなかった.これらの情報を考慮して,地殻同化のプロセスを検討している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
考察に必要な地球化学データをほぼ取得できた.放射非平衡の原因の解析に進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
阿蘇火山試料の解析を進めるとともに,他の九州の火山との比較も行い,研究をまとめる予定である.
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