研究課題/領域番号 |
21K03708
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
遠山 知亜紀 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (30649273)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 塩素同位体 / ハロゲン / 標準物質 / マントル不均質 |
研究開始時の研究の概要 |
ハロゲンはマントルの組成的不均質とその成因に関する研究の新たな指標として注目されているが、従来の塩素同位体分析法の不安定性や標準物質のデータ不足等の問題が研究発展の足かせとなっている。そこで本研究は、従来法の問題点を解決した新たな塩素同位体分析法の確立、塩素同位体標準物質の選定、標準物質のハロゲン濃度と塩素同位体のデータセットの構築を行い、問題解決を試みる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は①産業技術総合研究所における塩素同位体分析法の確立、②δ37Cl値の基準となる海水の評価、③塩素同位体標準物質の選定、④標準物質のハロゲンデータセットの構築である。本研究で行う塩素同位体分析法は、申請者が海洋研究開発機構在籍中に確立したフェムト秒レーザーアブレーション装置(LA)と二重収束型多重検出ICP質量分析装置(MC-ICP-MS)を用いた塩素同位体分析法(Toyama et al., 2015)をベースとし、産業技術総合研究所のMC-ICP-MSに合わせて測定条件等を変更した分析法である。本研究はこれまでに目的①の分析法の立ち上げが完了し海洋研究開発機構での測定と同程度の精度を得られるようになっていた。しかし昨年度に、ヘリウムガスの供給不足に伴いキャリアガスを変更したところ測定精度が悪化してしまったため、その原因を調べ改善することを今年度の最大の目標とした。測定精度の悪化は、LAのキャリアガスにアルゴンガスを使用したことでLAの照射時とその前後で37Clの妨害となる36Ar1H分子の生成量が変化しバックグラウンドが変動することが原因と考えられる。そこで、36Ar1H分子の生成率が低くなる測定条件を検討した。さらに測定中の38Arをモニターし、その変化から36Ar1H分子の変動を推定して、37Clの測定データを補正する方法を取り入れた結果、従来の精度まで改善させることができた。次に、標準海水や塩素同位体標準溶液を用いて手法の精度と確度の評価を行った。試料溶液から塩化銀を複数回作成し測定をしたところ、試料の塩素同位体比はそれぞれの試料でほぼ一致した。さらに、数年前に作成し保管していた標準海水の塩化銀も同時に測定したところ、今回新たに作成した塩化銀の塩素同位体比と一致し、時間経過による同位体比の変化が見られないことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は開始直後からコロナ感染症拡大による出勤停止や申請者の急な出向、LAのキャリアガスの変更等により当初の研究実施計画より遅れが生じている。しかしながら、今年度は大きな問題はなく研究を進めることができた。今年度は測定条件の検討と並行して、研究目的④の様々な標準物質の塩素同位体とハロゲン濃度の分析で行う一部の実験を前倒しで行ったため、研究の遅れを多少ではあるが取り戻せたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
来年度はまず、人工の標準海水と天然の海水の塩素同位体の分析を行い、海水の違いによるδ37Cl値への影響検討を行う。そして、様々な標準物質の塩素同位体とハロゲン濃度の分析を行い、本研究の最終目的である塩素同位体標準物質の決定と標準物質のハロゲンデータセットの構築を目指す。
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