研究課題/領域番号 |
21K03709
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
大滝 壽樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (00356643)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 地球の外核最下部 / P波速度構造 / 球殻上を伝わる波の分散 / 地震波の走時差 / 地震波速度構造 / ICB |
研究開始時の研究の概要 |
地面の下,深さ約2900 kmからは外核が広がっている.この外核は軽元素を含んだほぼ鉄からなる液体である.外核の底は深さ約5150 kmにあり,その下には固体の内核がある.内核中の軽元素は外核より乏しい.内核表面では液体の固化が今も進んでおり,その際に外核中に放出される軽元素が外核の対流の主な原動力とされている. 我々の最近の研究は,この外核の底付近に地震波速度の不均質が存在することを示している.速度の不均質は化学組成の不均質を意味している.これは外核組成対流の直接的な証拠であり,その分布から対流の様相を調べることができよう.本研究の目的は,この不均質の分布を調べることである.
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研究実績の概要 |
本研究課題では,地球の外核最下部数百 kmの地震波(P波)速度構造をマッピングすることを目的としている.この目的のためには,なるべく広い範囲にわたってP波速度を求めることが重要となる.我々は本課題以前に二地域で外核最下部の速度構造を求め,その構造に違いがあることを公表している.この二つの構造をFVW,FVAとする.次の疑問は,どちらの速度構造が支配的であるのか,あるいは別の構造があるのか,である. この疑問に答えるため,この二地域の間の空間的ギャップを少しでも埋めるべく,今年度は昨年度に引き続き南米大陸の南部に起きた地震波形の解析を進めた.解析は以前の論文と同様,外核ー内核境界上を掠め伝う波の走時の周波数依存と掠める波と反射する波との時間差の二つの量を使っておこなっている.なお,後者については研究協力を仰いでいる.観測網は以前の二地域の構造探査に使ったものと同じ日本のHi-netであり,対象地域の北隣には以前解析したFVW地域が広がる.得られた結果はFVWと同じ速度構造を示した.今回新たに内核境界を伝う回折波の振幅の距離変化についても解析したが,今回の解析域とその北隣のFVW地域は同じ傾向を示す一方,FVA地域は別の傾向を示し,共に求めた速度構造とそれぞれ整合的であった.また,昨年度収集したFVA地域をとおる新たな地震波形の速度分散を解析し,以前求めた速度構造で説明できることが分かった.これらの結果は我々の解析の妥当性を示している.結果は学会(10月)で発表した.論文は脱稿した. また,この他の地域についても地震波形を収集し解析を行うと共に,外核最下部地震波速度研究および回折波の分散現象を使った地球深部構造研究について文献調査を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
投稿論文作成に多少遅れがみられるが,本課題により従来より広い範囲で外核最下部の構造探査を行えている.
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今後の研究の推進方策 |
今回対象とした地域の解析結果をまとめた論文の完成度を高め,投稿する.また,国際学会で発表を行う.他地域で起きた地震の波形の収集・解析を進め,新たな地域での外核最下部速度構造を求め,より広い範囲で速度構造をマッピングすることを目指す
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