研究課題/領域番号 |
21K03714
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
森重 学 東京大学, 地震研究所, 助教 (70746544)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ニューラルネットワーク / マントルダイナミクス / データ科学 / ベイズ推定 / 流体移動 / 時間逆行問題 |
研究開始時の研究の概要 |
マントル内部の岩石流動や流体移動は、プレート運動や地球内部の物質循環を支配する最も基本的な現象であり、それらは物理法則を記述する偏微分方程式を解くことで予測することができる。しかし従来用いられてきた計算手法は、解が不連続となる場合や時間逆行問題を解くことを不得意としてきた。そのような問題点を克服するため、本研究はニューラルネットワークに基づき偏微分方程式を解く新たな手法に焦点を当て、その実用性を検証することを目的とする。本手法の実用性が確認されれば、マントルダイナミクスにおいて取り組める問題の幅が飛躍的に広がると考えられる。
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研究実績の概要 |
本研究の主な目的は、データ科学的手法の1つであるニューラルネットワークを用いて偏微分方程式を解く新たな手法 Physics-Informed Neural Networks (以後PINNと呼ぶ)がマントルダイナミクスの物理モデリングに対して適用可能かどうかを明らかにすることである。PINNの大きな特徴の1つは、時間逆行問題を時間進行問題と全く同じように取り扱える点である。本年度は昨年度に引き続き2次元の箱型モデル形状、物性一定、定常状態という最も単純な熱対流の問題に対してPINNの適用可能性を検討した。その中で、流れ場を求めるための定式化としては流れ関数のみを用いたもの(4階の偏微分方程式1つ)よりも流れ関数と渦度を用いたもの(2階の偏微分方程式2つ)の方が計算が収束しやすいことが明らかになった。しかし依然としてレーリー数が10^5以上の場合には計算が収束しない、また有限差分法や有限要素法など従来の計算手法と比較して計算時間がかかる、などの問題が残った。単純な熱対流に関する最近の既存研究を見てもレーリー数が高い場合にPINNで高い計算精度を出すのは難しいようである。またこれまでは境界上の点で値を指定する場合には(ディリクレ境界条件)、その条件を解として仮定する関数形に組み込むことで厳密に境界条件が満たされるようにしていたが、この手法では損失関数が複雑になるため計算の収束が難しくなるということも分かってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度に引き続き、ニューラルネットワークにおけるパラメータのチューニングに時間がかかっている。また計算時間がかかり過ぎるという問題もある。
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今後の研究の推進方策 |
現在取り組んでいる熱対流よりも更に単純な問題に対してPINNの適用を考える。例えば2次元箱型モデル形状における多孔質物質内熱対流や熱伝導のみの問題を想定している。
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