研究課題/領域番号 |
21K03734
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17050:地球生命科学関連
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
高橋 修 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (20242232)
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研究分担者 |
湯浅 智子 東京学芸大学, 教育学部, 研究員 (80590629)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 放散虫 / アカンサリア / 共生藻 / 緑藻 / ナッセラリア / スプメラリア / ゲノム / シリカ / 骨殻 / 真核生物 / バイオミネラリゼーション / 遺伝子水平伝播 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,地質時代における真核生物の被殻成分の進化について,放散虫および有孔虫を題材に実験的手法で検討する.シリカ被殻の形態制御に関するシリコントランスポーター遺伝子を,放散虫と有孔虫の複数の種のゲノムから探索し,それらの系統を明らかにする.また,宿主である放散虫・ 有孔虫だけではなく,それら共生体についても同様に系統解析を行うことで,地質学的時間の下で起こっている真核生物の被殻成分の進化が,共通祖先による遺伝子の垂直伝播によるものなのか,それとも共生体からの水平伝播によってもたらされたものであるのかを明らかにする事ができる.
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研究実績の概要 |
本年度も,琉球大学瀬底実験施設において,計2回の調査と実験船によるサンプリングを実施した.それらのサンプルから,放散虫ポリキスティナおよびアカンサリアについて,申請した位相差顕微鏡による観察,および走査型電子顕微鏡観察,透過型電子顕微鏡観察, 分子系統解析を通して,今年度についても引き続き,各種の検討およびそれぞれの放散虫種に共生する共生藻についての検討を行った.今年度は,そのうち,とくに新種と同定される「球状の」ナッセラリア5種について,それぞれの遺伝子解析および透過型電子顕微鏡による超薄切片の観察を行ない,おなじく球状のスプメラリアとの形態の差異について検討した.また,昨年度見いだした新種のピコサイズの共生藻についても,さらなる検討を進め,現在論文をとりまとめ中である. 本研究の最終目的である放散虫のゲノム抽出については,複数回,数種の遊走子放出のチャンスがおとずれたが,ゲノム抽出自体が難航している状況である.現時点でやっと放散虫に与えることのできるエサ(緑藻の一種)を特定することができ,今後,放散虫の長い培養が可能になると考えている.できれば,放散虫の生活環をまわすことにこぎつけたいと考えている.培養をすることができるようになれば,放散虫のゲノム解析は急速に進むものと考えている. また,今後は,来年度予定されているノルウェーソグンダルフィヨルドの調査に向けて,寒帯種の観察をするために,5月に新潟大学佐渡実験施設を訪問し,調査およびサンプリングを行う予定である.これらの寒帯種が共生藻を保持しているのかを予備的に調査し,共生藻を保持していた場合,その種類は,西半球ノルウェーの種がもつ共生藻との差異があるのか...について検討するカギとなる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は予定していた調査日程をこなすことができず,また,寒帯種の調査のために日本海(佐渡)を訪れることもできなかった.しかしながら,ルーチンとなっている沖縄東シナ海の調査は複数回行うことができ,懸案であった複数種の新種放散虫のサンプリングも行う事ができた.また,見いだした新種の共生藻の検討も進み近々報告書として提出できる見込みを立てることができた.
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今後の研究の推進方策 |
放散虫ゲノム解析については,ひきつづきその抽出に努め,有孔虫や珪藻などとのゲノムデータの比較を行い,放散虫のバイオミネラリゼーションやその起源についての考察を行なう予定である.また,上述したように,来年度予定されているノルウェーソグンダルフィヨルドの調査に向けて,寒帯種の観察をするために,5月に新潟大学佐渡実験施設を訪問し,調査およびサンプリングを行う予定である.
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