研究課題/領域番号 |
21K03740
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17050:地球生命科学関連
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研究機関 | 公益財団法人深田地質研究所 |
研究代表者 |
村宮 悠介 公益財団法人深田地質研究所, その他部局等, 研究員 (90823667)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 炭酸塩コンクリーション / 化石 / 古生物 / 軟体部 / メゾンクリーク |
研究開始時の研究の概要 |
古生物の軟体部に関する情報は、生物の分類・進化を考える上で重要だが、化石そのものから軟体部の情報が得られる機会は極めて少ない。そこで本研究では、生物遺骸(軟体部)起源の炭素分が炭酸塩として生物遺骸を取り巻くように沈殿して形成される、「炭酸塩コンクリーション」に着目する。この形成メカニズムは、炭酸塩コンクリーションの形状と炭酸塩量が、それぞれ、生物遺骸の軟体部形状と炭素量の情報を記録していることを意味する。本研究では、地球化学的な実測データと数値シミュレーションによって両者の関係を定量化することで、炭酸塩コンクリーションから古生物の軟体部情報を引き出す手法を確立する。
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研究実績の概要 |
炭酸塩コンクリーションは、堆積岩中に形成される炭酸塩を主成分とした岩塊で、多くの場合、内部に保存状態の良い化石が含まれる。本研究では、炭酸塩コンクリーションの炭素源が生物遺骸であることに着目して、炭酸塩コンクリーションから古生物の軟体部情報を抽出することを目指している。令和3年度はアメリカ・イリノイ州の上部石炭系(メゾンクリーク)から産出するコンクリーションについて、約100点のコンクリーション標本を用いて、コンクリーションの重量とコンクリーションに含まれる化石の大きさの関係を調査した。 令和4年度は、新たに40点の同地域産コンクリーションについて、コンクリーションの重量とコンクリーションに含まれる化石の大きさの関係を調査し、両者の定量的関係を明らかにした。この結果と現生生物における炭素含有率のデータ等を用いて、分類学的位置が不明確な絶滅古生物「Hアニマル(Etacystis communis)」の分類学的位置を、化石サイズに対するコンクリーションサイズの視点から検討した。この内容は、日本古生物学会第172回例会において発表した。 また、コンクリーションの形状と内部に含まれる化石の形状の関係を定量的に示すことを目的として、コンクリーションの形成現象を数値モデル化するための議論・検討を共同研究者と実施した。 さらに、実際に化石を内包するコンクリーションがどのように形成されるのかを明らかにするため、コンクリーションを含有する地層におけるコンクリーションの産状調査、および、博物館での標本調査を実施した。この成果の一部は、地質学雑誌において公表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度は、研究代表者の育児休業取得に伴い、合計4ヶ月の研究中断期間が生じた。このため、当初予定していた調査分析の一部が当該年度中に実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究から、メゾンクリークのコンクリーションにおいては、コンクリーションの重量と内包される化石のサイズには明瞭な相関関係があることが明らかになった。また、コンクリーションの重量を炭素量に換算して、現生生物の炭素含有率のデータを合わせて考えることで、この関係から絶滅古生物の炭素含有率を推定できる可能性が示された。今後、この手法を様々な古生物に適用するため、これまでに行った調査を、さらに対象を広げて継続して実施する。 また、化石のサイズからその古生物が生存当時に持っていた炭素量を推定するため、現生生物における体サイズと炭素含有量の関係を調査する。 これらによって得られた知見は、適宜、学会発表や論文で公表していく。
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