研究課題/領域番号 |
21K03749
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18010:材料力学および機械材料関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小林 康浩 京都大学, 複合原子力科学研究所, 助教 (00303917)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | メスバウアー分光 / X線カメラ / メスバウアー分光測定 / 二次元イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
これまで、メスバウアー分光は大きな試料全体を測定する方法として知られていたが、X線カメラを使うことによりメスバウアー分光の二次元イメージングを行うことを目指す。目標とする測定対象は鉄鋼材料中の炭化鉄(セメンタイト)で、セメンタイトの粒子が鉄鋼中にどのように分散しているかが鋼板の強度を左右する。より強度が高い鋼板を得るために、理想的な分散状態やそれを生み出すための焼成条件を調べることを目指す。
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研究実績の概要 |
画像データの取得とノイズの除去のためのテストを行った。計画では入射ガンマ線の平行性を得るために、線源からカメラまでの距離を90cm以上離して測定を行うとしているが、メスバウアーγ線以外のノイズが多いと思われる。当初は外部からのノイズと考えX線カメラ周辺のシールドを強化する方向で実験を行ったが、実験を進めるとシールドとして置いている鉛ブロックからの散乱の影響が大きいことが分かった。現在はシールドの配置や距離を変更しながらノイズの低減を試みている。25マイクロメートル厚のFe箔を用いたカウント数のテストではノイズのカウントが1ピクセル当たり50カウント程度なのに対して信号と思われるカウントが10~20カウント程度しか得ることができず、一般的なメスバウアースペクトルの吸収強度である10~20%の吸収を観測するには十分ではない。ノイズ除去のさらなる工夫が必要である。 また、画素の検出ムラによると予想されるノイズの除去のために電動ステージにて移動させた試料の画像を重ね合わせによるノイズ除去を試みた。電動ステージはまずは研究室で過去に別の測定に使用したものを流用し試験を行った。結果としては電動ステージの精度が十分でなく好ましい結果を得られなかった。画像を足し合わせるためにピクセル間のデータの補間を行ったが、まだパラメータの最適値を得ることができていない。未知データの補間を行うことが可能か否かの検証と、ピクセルと一致した試料移動が可能かの検証を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
メスバウアー用Co-57線源からは14.4keVのメスバウアーγ線の他に122keVのγ線や6.4keVのFeの蛍光X線が放出されている。使用しているX線カメラはエネルギー分解能を持たないためこれらのγ線やX線、そしてその散乱光を全て捕らえている。特に122keVのγ線は鉛ブロックで散乱されたり鉛を励起して蛍光X線の発生源となる。これまではできるだけ外部からのノイズを防止するためにカメラ周辺を中心に多くの鉛ブロックを積むことで遮蔽を行っており、これがノイズの発生源となっていた可能性がある。今後はこの遮蔽の構造の再検討を行う予定である。私がこれまで行ってきた測定ではエネルギー分解能を持つ検出器ばかりを使用していたため、メスバウアーγ線以外のノイズに対して認識が甘かったと痛感している。 画素の検出ムラによると予想されるノイズの除去のために電動ステージにて移動させた試料の画像を重ね合わせによるノイズ除去については既存の移動ステージを用いたが、精度がそれほど高くなかったためにカメラの画素の間隔(6.5μm)と完全に一致した移動をさせることができず、画像を足し合わせる過程でデータの補間を行う必要が生じた。この補間のパラメーターで最適値を得ることができていない。精度が高いステージを導入して補間処理を挟まずにデータを足し合わせをすることが理想と考えており、その有効性を検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
ノイズ軽減のためのシールドの形状を検討する。具体的には線源近くには厳重なシールドを行う一方でカメラ周辺のシールドはなるべく距離を置くことによって側面や上面からの散乱光を小さくすることを試みる。また、費用等に余裕があれば鉛の表面にカドミウム板と銅板を貼ることにより蛍光X線の軽減を検討中である。 また、先に述べたとおり精度が高い電動ステージを導入して補間処理を挟まずにデータを足し合わせをすることを可能にすることを検討している。
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