研究課題/領域番号 |
21K03791
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18020:加工学および生産工学関連
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
清水 浩貴 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (50323043)
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研究分担者 |
田丸 雄摩 九州工業大学, 大学院工学研究院, 助教 (30284590)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 多点法形状計測 / 平面形状測定 / MEMS変位計 / カンチレバー式変位計 / 走査形状測定 / 機上計測 / 多点法 / 誤差分離 / MEMS / 機械加工面 / 平面計測 / ソフトウェアデータム |
研究開始時の研究の概要 |
真直度測定法として知られる多点法走査型形状測定法を平面測定に容易に適用可能とするため,3×3点の変位を同時計測可能なセンサアレイの原理を提案し,これを走査することにより得られる冗長度の高いデータの新たな接続法と組み合わせることで姿勢誤差除去が可能な機上計測法の確立を目指す.さらに,提案原理に基づく多点同時計測が可能なセンサアレイをMEMSデバイスとして1つのチップ上に作りこむことで機械加工平面創成に適した小型の機上測定ユニットの実現に繋げる.
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研究実績の概要 |
本研究は3×3点の変位を同時計測可能なセンサアレイ開発し,これを走査することにより得られる冗長度の高いデータの新たな接続法と組み合わせることでステージの運動誤差の影響を受けない機上平面形状測定法の確立を目指すものである. 2024年度は9つのカンチレバー式変位計を一体構造として格子状に配置された3×3点の変位を同時に計測できるデバイスの詳細設計と試作を行った.各カンチレバー式変位計は梁の先端変位に応じて生ずるひずみの変化を梁の根元部に配置したピエゾ抵抗体の抵抗値変化から読み取ることで変位を測定する. 前年度には測定点配置とデバイスのフレーム間に角度をつけることにより片持ち梁式変位計9本を相互に干渉しないように配置できることを明らかにしたが,これを発展させ,15度の角度をつけることでより長い8.5㎜の片持ち梁9本を20㎜×20㎜のフレーム内部に配置できる構造を考案した.さらに,MEMSデバイスとしての製作が容易となるよう,深堀反応性イオンエッチング(D-RIE)加工に適したスリット幅を考慮してデバイス構造の設計を行った.プロセスの条件だしも行い,歩留まりは低いもののデバイスを製作が可能であることを確認した.このデバイスの安定性を確認したところ,測定した2チャンネル間で環境変化に起因すると考えられる同相成分のドリフトが発生することが確認された.そのため,1つのセンサを基準として差動出力をとることで評価を行った.このデバイスの変位に対する出力と安定性確認時のノイズレベルから評価したところ,このデバイスがおよそ14nm程度の分解能を持つことが確認された.また,破断に至るまでの変位が約300μmであったため,100μm程度の凹凸を問題なく測定できることも確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は施設停止の影響で遅れていたデバイス製作に注力し,おおよそ遅れを取り戻すことができた.ピエゾ抵抗体をp型およびn型の両方の条件で製作する場合,最大感度となる結晶方向がそれぞれ<100>方向と<110>方向となることが知られており,両者は45度傾いているため通常はそれぞれに合わせてマスクを製作する.これを,シリコンウエハを45度傾けて保持できる冶具を自作することでマスクを兼用できるようにしてコストと製作時間を省略した.デバイス製作でも問題となるプロセスの条件出し,特にD-RIEは前年度と異なる環境(本学マイクロ化技術総合センター)・装置での実験となるため再度の条件だしを行った.この際,放熱不良によるレジストの消耗が激しい問題に対しても放熱テープの利用法を工夫することによりある程度解決のめどを立てた.全体として,加工施設の利用者増によって予約間隔があく状況でも比較的順調に実験を実施できた. 一方で,予約間隔の関係から予定数の実験が行えていないこと,および,まだ解明できていない条件の違いによる製作不良も発生するため,研究期間の1年延長して研究継続を申請し,許可された.
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今後の研究の推進方策 |
現在残る問題として,ピエゾ抵抗体両端部のコンタクトホール部に段差に起因すると考えられる断線が生じることがあげられる.この点に関して,蒸着膜の厚さを変えるとともにRIEによるシリコン酸化膜エッチングからウエットエッチングに切り替えることで対策が可能かを確認する実験を行う.また,成膜条件を統一しているにもかかわらず蒸着膜のはく離が発生する場合もあるため,この原因についての検討を行う.その他,D-RIEの条件をさらに詰める等,歩留まりの改善を図り,安定的にデバイスを製作するとともに,デバイスの性能に最も大きな影響を与えると予想されるイオン注入条件ごとの特性評価を進める. また,これまでの成果を国際会議The 20th International Conference on Precision Engineering (ICPE2024)にて発表する予定である.
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