研究課題/領域番号 |
21K03810
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18020:加工学および生産工学関連
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
亀山 雄高 東京都市大学, 理工学部, 准教授 (20398639)
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研究分担者 |
南部 紘一郎 大阪産業大学, 工学部, 准教授 (20610942)
市川 裕士 東北大学, 工学研究科, 准教授 (80451540)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | ピーニング / 移着 / X線CT / 化学的親和性 / 微視的強度 / 固相接合 / メカニカルミキシング / 接合 / 噴射加工 / 固体成膜 |
研究開始時の研究の概要 |
ピーニング加工とは,粒子を母材へ衝突させる原理を利用した加工技術である.この加工は常温下で行われ,粒子の運動エネルギも比較的低いにも関わらず,母材へ衝突した粒子の一部分が母材の側に強固に接合された状態(このことを移着と呼ぶ)になる.この移着が発生するための条件(母材・粒子の組み合わせやピーニング加工条件)を実験・シミュレーションの両面から解明するとともに,X線CT技術や電子顕微鏡内での引張試験を駆使して接合機構・接合強度を解明する研究を行う.研究成果は,いわば「金属組織を常温で3Dプリンティング可能な新技術」として応用が期待できる.
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研究実績の概要 |
(1) 微粒子ピーニングにおける母材と粒子の化学的親和性が移着発生に及ぼす影響の解明(研究代表者・亀山): 化学的親和性の良否が異なる母材と粒子とを組み合わせて微粒子ピーニングを行った.現時点では化学的親和性と移着挙動との間に単純な相関性が見出せていないが,粒子や母材の硬さ,粒子の飛翔速度ひいては運動エネルギが統一できていない点の影響について今後検討する. (2) 微粒子ピーニングに用いる粒子の表面状態が移着に及ぼす影響(研究代表者・亀山,研究分担者・市川): 表面の酸化物を除去した状態の鋼粒子,表面を積極的に酸化させた鋼粒子を準備し,それらを用いてアルミ母材へ微粒子ピーニングを行った.表面が酸化した状態の粒子のほうが移着の発生量は多かったが,酸化物の化学結合状態を維持したまま移着を生じることが解った.一方,酸化物を除去した鋼粒子では,酸化していない清浄な鉄(鋼)が移着しているということが解った. (3) 移着物を含むラメラ状組織の形成挙動(研究代表者・亀山): 2022年度に実施したX線CT実験のデータを詳しく解析し,ラメラ状組織の形成過程で移着物がどのような振る舞いをしているのかについて考察した.移着物の体積に関しては,加工時間の増加とともに当初は増加し,その後ほぼ一定値に収束するという傾向を示した.移着物はピーニング加工の過程で母材の組成流動に伴われて混合される様子の可視化に成功した.また粒子の衝突1回で,移着物は数μm程度の移動を生じていることがわかった. (4) 微粒子ピーニングにおける移着の発生メカニズムに対する解析的検討(研究分担者・南部): ノズルから投射される粒子の飛翔挙動を数値解析し,粒子が回転しながら母材と衝突することによって,衝突面に顕著なせん断応力が発生している可能性が見出された.このことが移着発生に寄与している可能性があり,詳しく検討を進める.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度にはラメラ状組織形成のX線CT観察結果の詳しい解析においてとくに充実した知見が得られた.加えて,粒子の表面状態による移着への影響,様々な粒子と母材の組み合わせにおける移着発生挙動のデータ蓄積や粒子の飛翔状態の数値解析も順調に進展した.これらはいずれも,本研究の目的に照らして重要な結果であり,有意義な成果が得られているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
・種々の母材・粒子の組み合わせで微粒子ピーニングを行った場合の移着発生挙動について,引き続きデータの蓄積を行うとともに,結果の定量的な比較考察を継続して行う. ・酸洗い粒子を用いて作製した移着ラメラ組織に対する移着物母材界面微視的強度試験が十分に行えなかったので,2024年度に実施する. ・移着メカニズムに対する解析的検討については,研究分担者の南部によるシミュレーションが当初計画以上の成果につながっていることから,その成果をベースに考察を進めるように計画を変更して研究を行う.
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