研究課題/領域番号 |
21K03831
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18040:機械要素およびトライボロジー関連
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
本田 知己 福井大学, 学術研究院工学系部門, 教授 (80251982)
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研究分担者 |
福島 啓悟 福井大学, 学術研究院工学系部門, 講師 (50725322)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | メンテナンストライボロジー / 油中酸化物 / 吸着力直接測定 / 吸着シミ ュレーション / 潤滑摩耗 |
研究開始時の研究の概要 |
機械設備の故障を未然に防ぐためには,摩擦摩耗の起点となる潤滑油の劣化,特に酸化進行メカニズムと酸化した油分子の摩擦面への吸着メカニズムの解明が鍵となる.そこで本研究では,「潤滑油酸化劣化機構」,「酸化物吸着と潤滑摩耗機構」の二つの「学術的問い」に対して,実験・分析とシミュレーションの両視点から,科学的根拠とトライボ志向設計モデルを提示することを目的とする.
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研究実績の概要 |
「潤滑油酸化劣化機構」、「酸化物吸着と潤滑摩耗機構」の二つの「学術的問い」に対して、実験解析と数値解析から研究することで、油潤滑下での摩擦摩耗の起点となる酸化物吸着について、その源流まで遡ってメカニズムを考察し、実験・分析とシミュレーションの両面から科学的根拠とトライボ志向設計モデルを提示することを目的としている. 当初2021年度に予定していた「水晶振動子測定システムを用いて,金属表面への酸化物の吸着量を精密に測定し,酸化度と吸着物質量との関係を明らかにする」という研究課題について2022年度に実施した. まずは固体表面における極性物質の吸着状態を調査するために水晶振動子マイクロバランス(QCM : Quartz Crystal Microbalance)装置を用いてn-ヘキサデカン中でのオレイン酸の浸漬時間に伴う吸着挙動および粘性特性を調査した.また浸漬時間に伴う摩擦特性の変化を原子間力顕微鏡(AFM : Atomic Force Microscope) を用いて調査した.その結果,以下の結論を得た. (1) QCMによりn-ヘキサデカンとn-ヘキサデカンにオレイン酸を5wt%添加した試料油のアドミタンス測定を行った結果,n-ヘキサデカンのみの場合では浸漬時間によってアドミタンス円に変化はなかったが,オレイン酸添加油では浸漬時間に伴ってSUS304 電極表面の粘性が増加したことを示した. (2) AFMによる摩擦試験を行った結果,浸漬時間に伴い表面の吸着状態が変化したことにより吸着膜の粘性が増加し,粘性抵抗により水平力が増加したことを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実施年度は前後したが,予定していた年度毎の実験について,2021年度に「油中酸化物の吸着力・せん断抵抗の直接測定」を,2022年度に「水晶振動子測定システムを用いた金属表面への高分子の吸着量を精密に測定する手法を確立した.ただし,酸化度と酸化物吸着量との関係はまだ明らかにできていないため,2023年度は引き続きその測定を施行するとともに,模擬酸化油を用いた潤滑摩耗試験により,しゅう動面の摩擦抵抗と摩耗状態に影響を与える因子(酸化物の種類、吸着量、吸着力、など)を明らかにする. また,研究分担者の福島により,分子動力学を用いた数値解析による酸化物の吸着のシミュレーションを実施している.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は,2021,2022年度に試行してきた「酸化度と吸着物質量との関係」をさらに明らかにしていくとともに,2021年度に実施した「酸化物の吸着力およびせん断抵抗」の実験による結果をもとにして,分子動力学を用いた数値解析との比較により吸着メカニズムを定量的に明らかにする予定で進めている.また,模擬酸化油を用いた潤滑摩耗試験により,しゅう動面の摩擦抵抗と摩耗状態に影響を与える因子(酸化物の種類、吸着量、吸着力、など)を明らかにする.
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