研究課題/領域番号 |
21K03835
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18040:機械要素およびトライボロジー関連
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
射場 大輔 京都工芸繊維大学, 機械工学系, 教授 (10402984)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 樹脂歯車 / 損傷予兆検知 / 摩耗 / 歯形勾配偏差 / 射出成形加工 / ネットワーク理論 / 磨耗 / 歯車 / ヘルスモニタリング / かみ合い振動 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では樹脂歯車の状態を表す諸量,特に,歯元のき裂発生前に現れる歯面摩耗や歯の倒れに伴う形状変化とかみ合い振動に関連する情報を回収して解析し,それらの関係を明らかにする.さらに,回収・解析した情報に歯車の特性を考慮した前処理を施して学習用データセットを創生し,深層構造を持つ人工知能に学習させることで歯車の振動情報のみから歯元き裂発生の「予兆」検知が可能であるか検証する.
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研究実績の概要 |
本研究では樹脂歯車の状態を表す諸量,特に,歯元のき裂発生前に現れる歯面摩耗や歯の倒れに伴う形状変化とかみ合い振動に関連する情報を回収して解析し, それらの関係を明らかにすることを目的としている.さらに,回収・解析した情報に歯車の特性を考慮した前処理を施して学習用データセットを創生し,深層構 造を持つ人工知能に学習させることで歯車の振動情報のみから歯元き裂発生の「予兆」検知が可能であるか検証する. 令和4年度は,歯の倒れと歯面摩耗の度合いが異なるように条件を変えて樹脂歯車の運転試験実施し,き裂発生前の形状が変化し始めた樹脂歯車を準備した.そして,異なる歯の倒れと歯面摩耗の度合いを有する歯車に対して,今度は同条件で運転試験を実施することで,かみ合い振動データを生成した.そのデータに対して歯車測定機によって計測して評価した歯の倒れと摩耗の指標を与えることで正解付きの学習用データセットを用意した.かみ合い振動データは周波数領域で画像化し,形状変化の度合いがかみ合い振動成分に与える影響を明らかにするため,周波数帯域毎に異なる学習用データセットを人工知能に学習させて正答率を調べた.また,運練試験前の樹脂歯車の形状偏差データをネットワーク化した.特に,歯すじ偏差間の相関係数を重みとした歯すじ偏差ネットワークを調べたところ,ネットワークの隣接行列に周期的なパターンが生じていることが確認できた.歯車の製作工程と得られたパターンを詳細に調べたところ,射出成形加工時の影響が歯すじ偏差ネットワークに現れていることが確認でき,加工時の履歴がネットワークから評価できる可能性を示唆していることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度の研究は,1.歯車形状の変化量のネットワーク理論による解析と定量化,2.かみ合い振動の時変調和振動モデルの構築,を実施する計画であった.研究実績の概要に述べたように,まず,対象となるポリアセタール製歯車の運転試験前の形状を歯車測定機によって計測し,得られた各歯の歯すじ偏差に対して適切な前処理を施してから相関係数を計算し,それを重みとする歯すじ偏差ネットワークを導出した.従来は,切削加工や研削加工によって仕上げられた歯車に対するネットワークを評価してきたが,今回,初めて導出した樹脂歯車の歯すじ偏差ネットワークの隣接行列には周期的なパターンが生じることを発見した.計測した樹脂歯車を詳細に調べると,射出成形加工された時に溶融した材料を型に流し込むためのゲートの跡が6箇所確認でき,ネットワークに現れたパターンとゲート位置が関係しているという新しい知見が得られた.すなわち,射出成形時の影響が歯すじ偏差ネットワークに大きく現れており,歯車の偏差ネットワークによってこうした成形時の問題が評価できる可能性が示唆されているため,このネットワークの解析を重点的に行った.運転試験時間の増加と共に変化する形状偏差についても計測は行ったが,深く解析は進めていない.そのため,時間の経過と共に変化するかみ合い振動のモデルについては検討できていないが,歯の倒れと歯面の摩耗の度合いについては指標を作成し,その度合いが異なる歯車を用意してかみ合い振動データを回収した.そして,かみ合い振動を周波数領域で可視化して歯の倒れと摩耗の度合いをラベルとして与えることでデータセットを準備し,画像認識用の人工知能に学習させて正答率を調べた.その結果,かみ合い振動のどの周波数帯域のデータが学習しやすいか確認することが可能となった.
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は,運転時間の増加と共に変化する樹脂歯車の歯の倒れと歯面摩耗の度合いをネットワーク化して定量化する.そして得られたネットワークを表す行列の固有値解析を行うことで,行列が有する固有の性質を導出する.こうすることによって,例えば,歯の倒れに関するネットワークを表すラベルとして固有値を用いてかみ合い振動データを学習データセット化する.そして深層構造を有する人工知能に学習させることによって,歯元き裂発生前の損傷の予兆検知,すなわち歯の変形度合いに関連した振動に対して感度の良いシステムの構築を目指す.また,歯すじ偏差ネットワークによって射出成形加工時の履歴が評価できる可能性を示唆した結果を踏まえ,射出成形時のゲート位置,ウェルドラインの発生場所,運転試験後の歯元き裂発生位置,歯形・歯すじ偏差ネットワークとの関係について詳細に調べる.特に,き裂発生位置とウェルドライン近辺については樹脂材料の内部構造についてもラマン分光分析等を行うことで詳細に調べて,それらの関係性を考察する.
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