研究課題/領域番号 |
21K03838
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18040:機械要素およびトライボロジー関連
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
大津 健史 大分大学, 理工学部, 准教授 (10634488)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | トライボロジー / 弾性流体潤滑 / レオロジー / 蛍光スペクトル / 蛍光物質 / 粘度測定 / 流体潤滑 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,蛍光スペクトル解析を利用した粘度測定法の確立,および転がり-すべり条件下での測定に取り組み,最終的にせん断を受ける油膜内での油のレオロジーモデルの提案を目指す.粘度測定法は申請者によって開発された新規的な方法であり,スペクトル解析を基に粘度,油の状態が測定できる.一方,その課題として,本方法が特定の油のみで利用でき,様々な油に適用できなかったことが挙げられる.本研究ではこの点を改善するため,測定法の改良に取り組む.この研究の完成により,本方法が実用的な測定技術として確立されるとともに,測定結果を通して潤滑膜のレオロジー変化を詳細に理解でき,潤滑理論の再検討も可能になると考える.
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研究実績の概要 |
本課題では,申請者によって開発された潤滑膜内の粘度測定法の確立を目的に,測定可能な潤滑油の拡張,および転がり-すべり条件下の測定への応用とその解析を行う.2021年度の研究では,本方法を様々な潤滑油へ応用できるように,測定法の改良に取り組んだ.本方法を他の潤滑油に展開する場合(潤滑油自体が蛍光を発しない場合),蛍光強度比を求める際の基準ピークとなる蛍光が必要となる.そのため,当該年度では,基準ピークとなる蛍光物質の選定,および低温下での蛍光測定装置の構築を行った.今年度は,その方法を用いて,粘度測定法の確立を行った.潤滑油には一般的な合成潤滑油のポリアルファオレフィンを用い,これに蛍光物質としてピレン,および1-(N-フェニルアミノ)-ナフタレン(PAN)を添加した.PANは蛍光強度比における基準ピークとなる物質で,酸化防止剤として利用されるものである.低温での蛍光観察を行い,各温度での蛍光スペクトルを測定した結果,PANの蛍光強度は温度による変化がなく,ピレンの蛍光強度は低温になるとともに低下することが分かった.また,蛍光強度比と温度の関係性を求め,強度比が温度に対して線形的に低下し,ガラス転移点付近でその変化量が小さくなることが明らかとなった.さらに,この結果を解析し,強度比と粘度の関係性についても示した.基礎的実験として,潤滑油の閉じ込め膜の観察,および油膜内の粘度の測定を行い,本測定法が潤滑試験に適用できることを確認した. 2023年度は,本測定法を用いて,転がり,および転がり-すべり条件での油膜内の粘度測定を行い,潤滑膜における油のレオロジー変化について調べる予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は,2種類の蛍光物質を添加した条件で,低温時の蛍光観察,および蛍光スペクトルの測定を行い,その結果から蛍光強度比-粘度の関係式を求めた.これにより,潤滑試験における油膜内の油の粘度が求められることとなった.さらには,基礎的実験への応用により,本方法の有用性も確認することができた.これらのことより,おおむね順調と評価した.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,本方法を転がり,および転がり-すべり実験に応用し,接触域内での粘度分布の解析を行う.それらの結果を基に,油膜内でのレオロジー変化,およびすべりを伴う条件での油膜形成メカニズムについて検討を行う.
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