研究課題/領域番号 |
21K03839
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18040:機械要素およびトライボロジー関連
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
齋藤 直樹 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (60315645)
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研究分担者 |
佐藤 俊之 弘前大学, 理工学部, 教授 (40315635)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 空気圧 / 人工筋肉 / ヒステリシス / 剛性特性 / 弾性特性 / 粘弾性特性 / 制御性能 |
研究開始時の研究の概要 |
令和3年度は,複動式空気圧人工筋肉を試作し,圧力と収縮量と外力の関係およびヒステリシス低減の可能性について実験的に確認する. 令和4年度は,複動式空気圧人工筋肉の圧力と粘弾性特性との関係を調べる.ここでは伸縮双方向での粘弾性特性の違いや調整の可能性についても調べ,収縮量や外力に依存せず,自由に粘弾性特性が調節できるか,検討する. 令和5年度は,複動式空気圧人工筋肉による拮抗駆動システムの粘弾性特性と制御性能について実験的に確認する. 令和6年度は,応用例として軽量ロボットアームを構築し,複動式空気圧人工筋肉のアクチュエータとしての有用性について示唆する.
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研究実績の概要 |
本研究で提案する複動型人工筋肉において,剛性特性のモデル化に向けて調査検討を行った.今年度はまずはじめに,多くの実験条件の適用と実験の再現性の向上を目指して,実験手順の整理と実験方法の自動化を行った.そのうえで,昨年度よりも広いレンジの実験条件を対象に剛性特性の調査を行った.その結果,おおよそ内圧と外圧の差で剛性特性が決まる傾向があることがわかった.この結果を基に,静的モデルでの剛性特性表現モデルについても検討を行い,概ね良好であるという結果が得られた. また,このモデルからは,複動型人工筋肉は内圧と外圧をそれぞれ適切に調節することで,作動中に剛性を変えたり,収縮量を変えずに剛性を変える剛性可変特性も有していることがわかった.ただし,複動型人工筋肉は非線形特性があり,特に使用する収縮量や圧力レンジを広げることで,制御等に組み込むことを想定した簡単なモデルでの表現は難しいと予想されることもわかってきた.こうした結果を踏まえ,剛性特性の表現方法についてどのようにモデル化を行うか,またはモデル化の範囲の限定や,複数モデルの切り替えによる広範囲特性のカバーなどを現在検討中である. この他に,これまで提案してきた外圧調整型位置フィードバック制御にについて,定常偏差の解消は解析と実験で明らかにしたが,周波数応答特性についても調査を行った.その結果,一般的なフィードバック制御系の特性と同様に,位相進み要素をもつPIDコントローラを適用することで,周波数特性が向上することを実験により確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の目的であるヒステリシスの低減や,伸縮双方向で粘弾性特性の調節の可能性は調査できた.しかしこの特性を考慮して実際に収縮量や剛性を制御し,ロボットアームの関節剛性調整を実現することで,提案する複動型人工筋肉および特性調節手法の確立までが研究計画であり,剛性を考慮した制御とロボットアームへの適用及び関節剛性調整についてはまだ完了していないため,計画としてはやや遅れていると認識している. ただし,モデル化の方向性は実験結果より得られており,フィードバック制御による剛性特性を考慮した収縮量制御の方法については検討を始めており,2024年度中には結果が得られるものと考えている.またロボットアームの関節剛性調整については従来の空気圧人工筋肉による応用がすでに示されており,それに倣って制御系を検討することで実現できると考えている.よって,まずは複動型人工筋肉単体の制御の実現が重要であると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
まずは,現在検討を進めている剛性特性を考慮した収縮量制御について実現する.内圧と外圧の目標値をそれぞれ設定剛性を基に決定し,それに基づいて位置フィードバック制御を組み込むことを考えている.基礎特性はすでに得られており,非線形特性範囲を考慮するかどうかが問題であるが,解決が難しい場合は適用範囲を限定し,実現の可能性を探る予定である. ロボットアームの関節剛性調整については,すでにハードウェアの整備は概ね完了しているため,まずは複動型人工筋肉の制御について進める予定である.
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