研究課題/領域番号 |
21K03847
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18040:機械要素およびトライボロジー関連
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
根岸 秀世 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 研究領域主幹 (20568208)
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研究分担者 |
近藤 雅裕 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (10589295)
柴田 和也 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (30462873)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 粒子法 / 弾性流体潤滑 / 流体工学 / マルチスケール / マルチフィジックス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、複雑形状や剛体運動の扱いが容易で固体/液体/気体を統一的な計算原理で扱うことが可能な粒子法を採用し、転がり軸受内のマルチスケール・マルチフィジックスを考慮可能な弾性流体潤滑シミュレータを世界に先駆けて開発する。これにより軸受内全体の潤滑剤挙動を把握・制御し、省資源・省エネ化に資する軸受設計・運用方法の提案を実現する。
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研究実績の概要 |
本年度は、昨年度に引き続き物理的健全性、即ち運動量保存、角運動量保存、熱力学的第二法則等の物理法則を満たすMoving Particle Hydrodynamics method(MPH法)を基本手法に採用し、以下の2サブテーマに注力して研究を進めた: ①数値計算手法の構築 (1)弾性体-流体連成計算手法の構築:初年度にMPS法ベースで取り組んだソフトEHL問題(摺動面は弾性変形するが、潤滑油の粘度や密度等の物性変化は無視できる流体潤滑問題)を対象に、MPH法ベースの連成計算手法を再構築した。具体的には、流体計算に粒子法(MPH法)、弾性体計算に弾性変形式を採用し、これらを連成させた。2次元円柱/平面のソフトEHLを対象に検証解析を実施し、摺動部の圧力分布と油膜厚さ分布が従来のReynolds方程式やMPS法の数値解析結果と良好に一致することを確認した。 ②物理数学モデルの構築 (1)非ニュートン流体モデルの構築:軸受の潤滑剤として近年多用されるグリースに着目し、その流動特性である非ニュートン性を再現するモデルを導入し、妥当性検証を実施した。具体的には、グリースをビンガム擬塑性流体とみなし、粘性係数の計算にHerschel-Bulkley-Papanastasiou(HBP)式を導入した。HBP式では、ひずみ速度の関数として粘性係数を算出するが、ひずみ速度は変形速度テンソルの絶対値として計算した。その際、ひずみ速度テンソルは、MPH法用に速度ベクトルの勾配モデルを新たに定義して計算した。構築した手法は、ビンガム塑性流体の2次元ポアズイユ流れ、ビンガム擬塑性流体(グリース)の3次元ダム崩壊問題でそれぞれ検証し、定量的に妥当な結果が得られることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り、2サブテーマ(①数値計算手法の構築、②物理数学モデルの構築)に注力して研究を進めたことで、今後のベースとなるMPH法ベースの弾性体-流体連成計算手法およびグリースの非ニュートン流体モデルを獲得することができた。
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今後の研究の推進方策 |
ここまでに構築した数値計算手法および物理数学モデルをベースに、③軸受統合シミュレータの構築に着手し、今後の大規模並列計算を見据えた計算プログラムの開発に着手する。
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