研究課題/領域番号 |
21K03854
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19010:流体工学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
谷垣 実 京都大学, 複合原子力科学研究所, 助教 (90314294)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | ウルトラファインバブル / 摂動角相関 / 不安定核 / スピン緩和 / 界面 / 内部圧力 / 超微細相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、洗浄、殺菌、化学触媒効果などの様々な機能性が幅広い産業界で注目され活用が広まりつつあるウルトラファインバブルの示す。その一方、泡の大きさが可視光の回折限界より小さく、従来の泡研究の手法であった直接的な光学的観測が極めて困難なことから基 礎的特性や機能発現機構の研究は進んでいない。 そこでウルトラファインバブルの基礎的な性質について、従来の直接泡を見る手法ではなく、ウルトラファインバブルの中に核反応で生成した不安定核をプローブとし、原子核物理の手法である摂動角相関法を利用してウルトラファインバブルの状態を微視的に観測し、その安定性に関する知見を得る。
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研究実績の概要 |
これまでにpH=7~8と10.5付近で発見したインジウム111のスピン緩和に対する影響の研究をさらに進めた。これまでと同様に酸素のウルトラファインバブル水にインジウム111をプローブ核として導入し、これまで測定していなかったpH=4に調整した試料について摂動角相関法によるスピン緩和の測定を行った。Demilleらの結果では、pH=3.0で見られた単調なスピン緩和がpH=3.7で失われており、この領域がインジウムの作る水和イオンの形態がかわる境界領域と考えられ、ウルトラファインバブルの影響の有無がよりわかりやすくなるのではと考えたためである。比較対象としてウルトラファイン バブルを含まない水についてもpH=4に調整して測定した。またこれまでの測定に比べて十分な統計量を得ることで、差異についてより詳細に捉えられるようにした。水の場合のスピン緩和スペクトルは20 nsまでで急激なスピン緩和が進み、その後平坦な 形状が続く形になっており、pH=3.7の場合のDimilleの結果と矛盾しないものだった。ウルトラファインバブルもほぼ同じ形状であるが、20 nsまでの急激なスピン緩和の緩和速度と60 ns未満の区間での平坦部分において水の場合と僅かではあるが差が出ることがわかった。引き続きpH依存性をとっていくことで、pHを大きくしていくにつれこの差がどのように変化してpH=7~8で見られた差異につながるかを細かく追跡する予定である。そのほか計測器系の改良を行いデータ収集の効率をさらにあげた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
インジウム111での摂動角相関測定を通じたウルトラファインバブルの界面や安定性に関する新たなデータが得られており、目的とするウルトラ ファインバブルの特性理解に必要な知見の蓄積が順調に進んだため。
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今後の研究の推進方策 |
インジウム111のスピン緩和測定は当初の研究計画には含まれていなかったものの、ウルトラファインバブルの安定性や界面の特性、周囲との相互作用の研究の上で新たに明らかになった非常に重要な本課題の成果である。明らかとなったpH依存性について引き続き測定を継続して精度を上げる。これにより、ウルトラファインバブルの界面の機能性発現に関する知見を得る。
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