研究課題/領域番号 |
21K03863
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19010:流体工学関連
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研究機関 | 福井工業大学 |
研究代表者 |
清水 大 福井工業大学, 工学部, 教授 (40448048)
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研究分担者 |
杉本 信正 大阪大学, 大学院工学研究科, 招へい教授 (20116049)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 熱音響自励振動 / 2次振動モード / 曲率半径 / 進行波 / オーバーシュート / 間欠振動 / 音響インピーダンス / 曲率 / 反射波 |
研究開始時の研究の概要 |
低温廃熱を有効活用する熱音響自励振動は,新奇な原動機や冷凍機,発電機への応用が期待されている.特に注目される“熱して冷やす”熱音響式冷凍機は,進行波型の熱音響自励振動を利用する.従って,冷凍機においても,スタックの改良や多段化により熱音響効果を増大させ,自励振動を大振幅化する研究が盛んに行われてきた.しかし,熱音響効果の増大は,有効に活用されない定在波成分の増大も引き起こす.本研究では,進行波型の熱音響自励振動において,管の曲率が自励振動に及ぼす影響を明らかにし,管の曲率とスタックの挿入位置を最適化することで,進行波成分が増大することを明らかにする.
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研究実績の概要 |
令和4年度は,曲率半径の小さい曲がり管を用いて実験装置を構築し,令和3年度に製作した出力のより高いエンジン部を用いて,熱音響自励振動の発生実験を行った.これまでのところ,曲率半径の小さい曲管で構成されるループ管内に発生する熱音響自励振動は,その振幅がスタックを含むエンジン部の接続位置に大きく依存するだけでなく,全長やエンジン部の出力にも大きく依存することを実験により明らかにした.曲率半径の大きい曲がり管を用いた場合と比べ,振幅が顕著に大きくなる場合がある一方で,自励振動に含まれる進行波成分の割合は低下することが明らかになった.直管部における中央部つまり曲がり管に対して対称な位置から,両熱交換器の高温側が曲がり管により近くなる位置にエンジン部を配置することにより,全長やエンジン部の出力によらず,オーバーシュートを伴う増幅と減衰を不規則に繰り返す間欠的な自励振動が発生することが分かった.間欠的な振動は,いつまでも定常的な振動に移行しない場合もあれば,時間の経過とともに定常振動に移行し飽和する場合もあることが分かった.また,更に高温側を曲がり管に近づけることにより,自励振動は2次振動モードで飽和することが分かった.これら実験と並行し,令和4年度および令和3年度にそれぞれ用いた曲率半径の異なる曲がり管と比べて,曲率半径が丁度中間となる曲がり管の製作を進め,新たな実験装置の構築を進めた.本研究では,管の曲率とスタックの挿入位置に着目し,より多くの進行波成分を含む熱音響自励振動を発生させる新しい方法を明らかにする.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
曲率半径の小さい曲がり管を用いた実験装置を構築し,昨年度新たに製作した出力の高いエンジン部を用いて,熱音響自励振動の発生実験を実施した.実験装置を構成する直管部の一部について,既存の実験装置を解体・流用することで実験装置を構築し,実験を進めた.研究計画に大きな変更はなく,予定通り計画は進んでいる.曲率半径の小さい曲がり管で構成されるループ管内に発生する熱音響自励振動は,昨年度実施した曲率半径の大きい曲がり管を用いた実験結果とは対照的に,その振幅がエンジン部の接続位置に大きく依存するだけでなく,全長やエンジン部の出力にも大きく依存することが分かった.出力の高い新エンジン部を用いることにより,出力の低い旧エンジン部を用いた実験では自励振動が発生しない接続位置において自励振動が発生し,更なる振幅の増大が可能であることが分かった.旧エンジン部を用いた実験でも自励振動が発生する接続位置では,エンジン部の高出力化による振幅の増大効果が小さく,新エンジン部の使用により新たに自励振動の発生が可能となった接続位置における自励振動の振幅の方が,より大きくなることが分かった.また,全長やエンジン部の出力によらず,エンジン部の高温熱交換器側が,曲がり管に近くなる様にエンジン部を配置することにより,2次振動モードが励起されることが明らかになった.また,2次振動モードが励起される場合,基本振動が励起される場合と比較して,自励振動の振幅が全体的に小さくなることも分かった.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,曲率半径がこれまでの実験で用いてきた曲がり管の曲率半径のちょうど中間となる曲がり管を用いて,熱音響自励振動の発生実験を行う.鋼材価格および金属加工費の高騰により,一部物品の製作を次年度に行うこととしたが,研究計画に大きな変更はなく,予定通り計画を進めていく.次年度に加工工程を減らした設計図を用意し,かつ,まとめて発注することで単価を下げ,計画通り研究を進める.コストの問題が解決されない場合は,本年度と同様に,既存の実験装置を解体・流用することで実験を進める.以上より,管の曲率が異なる3つのループ管を用いた進行波型熱音響自励振の発生実験を実施し,管の曲率が自励振動に及ぼす影響を明らかにする.これにより,管の曲率とスタック挿入位置の相対的な関係を最適化し,更なる進行波成分の増大が可能であることを明らかにする.なお,本年度および昨年度の実験結果の差は顕著であることから,曲率半径が更に大きいもしくは更に小さい曲がり管を用いた実験は不要と判断しているが,次年度実施する中間的な曲率半径を持つ曲がり管を用いた実験結果次第では,それらについても検討する.
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