研究課題/領域番号 |
21K03889
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19010:流体工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
芳賀 臣紀 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 主任研究開発員 (30646930)
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研究分担者 |
鵜飼 諭史 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 研究開発員 (90897042)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 乱流燃焼 / 数値流体力学 / 先進アルゴリズム / 並列計算 / LES / 乱流燃焼モデル / 条件付きモーメントクロージャ / 流束再構築法 / 液体ロケットエンジン |
研究開始時の研究の概要 |
液体ロケットエンジンの燃焼器は,振動燃焼や溶損というハザードリスクを内包する,設計が難しい要素である.再使用ロケットに必要な推力調整や低コストかつ高安全の新しい噴射器の設計に関して,大規模な試験に代わって燃焼不安定性を予測できる解析技術が求められている.本研究では,前提条件(パラメータ)が少なく適用範囲が広い乱流燃焼モデルの実用化を目的とする.特定の燃焼形態を仮定しないモデルとして条件付きモーメントクロージャ法を採用し,実用化の障壁となっている高い計算コストを流束再構築法という解像度調整の自由度が高く,高い並列性能が得られる先進手法と組み合わせることで克服する.
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研究実績の概要 |
本研究では,空間の離散化に不連続有限要素法を用い,各計算セル内で近似次数を自在に変えることで乱流燃焼モデルの計算コストを大幅に低減することを目標としている.つまり,条件スカラーの次元を加えた4次元空間の高コストなモーメント計算は低次精度で近似し,3次元の流体計算は高次精度で近似をすることで,コストを低減する.流体計算を十分に高い次数(4次以上)で安定に計算できることが成功の鍵である.本年度は,燃焼流れにおける密度勾配が大きな界面を高次精度スキームで安定に計算するため,界面捕獲法として多項式リミッターと非多項式のTHINC法を導入した.多項式リミッターは堅牢性に優れ,密度比が数百倍の超臨界圧燃焼にも適用できるが,界面近傍で精度が大きく低下し,高次精度スキームの利点が失われることがわかった.他方,THINC法は高次精度スキームと組み合わせても解像度を維持できるが,高密度比の界面では十分な安定性が得られていないのが現状である. 提案手法のもう一つの特長であるGPUによる高速化については,プログラムに指示行を付加するOpenACCを用いてポーティングを行った.燃焼ソルバーでよく用いられるループ内のサブルーチン呼び出しや化学種の小ループ及びその多重ループがボトルネックとなり,計算速度が大幅に遅くなるケースを確認した.この問題に対し,混合物の輸送係数など複雑なサブルーチンについてはテーブル参照型の回帰モデルを利用することでサブルーチンが簡略化され,速度遅延も解消される知見を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当該年度は,代表者および分担者共に所属機関の主要プロジェクトを支援するため,多くのエフォートを投入する必要があり,当初の計画より遅れている状況である.研究課題については,当初の想定以上の問題は生じておらず,これまでに定式化したモデルを基に,検証課題の実施に必要なプログラムの開発を進めている.
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今後の研究の推進方策 |
本年度は本研究に対するエフォートを確保し,研究計画に沿って提案モデルの検証を進めていく.界面捕獲法と高次精度スキームの組み合わせの問題はあるものの,密度比が小さい常圧の燃焼では不安定化は生じにくく,基礎的な問題から検証を進める.並行して,解像度に優れるTHINC法の堅牢性向上については,再構築変数の選び方など基礎的な所から検討を続ける. GPUコードについては高速化に必要な注意点を概ね抽出することができたので,プログラムのポーティングと動作確認を継続する.GPUコードの準備が整えば,モデル検証を加速することができると考えている.
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