研究課題/領域番号 |
21K03907
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
研究代表者 |
山田 俊輔 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 准教授 (90516220)
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研究分担者 |
船見 祐揮 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 講師 (70738004)
中村 元 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 教授 (80531996)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | バックステップ / スキャニングステレオPIV / 高速赤外線カメラ / コヒーレント構造 / 非定常熱流動場 / ステレオPIV / バックステップ流れ |
研究開始時の研究の概要 |
ガスタービンや電子機器といった伝熱が関わる熱流体機械の設計では,流体・固体間の対流により伝わる熱流束を見積もるためには,熱伝達率を把握する必要がある.しかし,流れのはく離に伴いはく離せん断層で形成されコヒーレント構造は,対流による熱流束変動に大きく影響し,熱設計をするための熱伝達率を決定することは困難である.本研究では,はく離せん断層で形成されるコヒーレント構造により,壁近傍へ輸送される運動量の時空間的な様相を把握し,同時刻の流体・固体間の熱伝達による熱輸送量の同時計測を実施する.これらの流体の変動情報から,対流による熱伝達率を予測し,熱設計に必要な流体・固体間の熱伝達率の予測手法を提案する.
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研究実績の概要 |
令和3年度では,半無限固体を仮定した熱伝達モデルを用いて,時間平均の二次元速度分布から熱伝達率を推定し,赤外線カメラによる熱伝達率の実験値とを比較した.バックステップ下流の再付着点付近では,流れのコヒーレント構造により非定常熱流動場が形成されることから,熱伝達率の推定には,3次元3成分の速度計測が必要と考えられる.令和4年度では,これまでに構築した2次元ステレオPIV計測システムを拡張し,3次元3成分の計測が可能なスキャニングステレオPIV計測システムを構築した.構築した計測システムはレーザの照射位置をガルバノミラで制御し,高速に可動することで,3次元空間の瞬時速度分布を再構成した. スキャニングステレオPIV計測システムで計測した速度成分の検証として,シート光の面外方向の速度変化が小さくなるよう,低レイノルズ数域(ステップ高さHを代表値としたRe=790)のバックステップ流れとした.ガルバノミラを各回転角度で固定した状態と,ガルバノミラを介さない状態の時間平均速度分布とを比較した(静特性).また,ガルバノミラを可動させた瞬時速度分布を計測し,3次元の流れ場を検証した(動特性).静特性では,シート光に対して面外方向への移動距離が大きくなった場合,はく離せん断層から壁面近くの高さ方向速度成分の差異が大きく,レンズ焦点位置の設定が重要であることがわかった.動特性から,ガルバノミラの移動,レーザ照射,カメラシャッタの駆動の同期システムは構築できたが,流れ場の検証から,静特性と同様にレンズの焦点距離の設定を改善する必要があることがわかった.レンズの焦点距離の設定には,画像FFT解析を用いた検証により,±0.1H程度のレンズ焦点距離のズレを検知することが可能となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
世界的な半導体不足の状況により,半年程度で納品可能なガルバノスキャナへと変更し,スキャニングステレオPIV計測システムを構築した.当初計画していたものより低速駆動であったことから,主流速度を低下させ,低レイノルズ数域のバックステップ流れで速度成分を検証した.令和5年度には,前年度に構築した熱伝達率の推測モデルを改良し,ガルバノミラの高速化を図り,高レイノルズ数域のバックステップ流れにおける再付着点付近の熱伝達率を推定するための実験を計画している.
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度では,高レイノルズ数域のバックステップ流れにおける再付着点付近の3次元3成分の速度分布計測を実施する.そのためには,主流速度の増加に伴い高速スキャニングが必要であることから,ガルバノミラの高速駆動化を目指した実験装置の改良を計画している.高速駆動した際のガルバノミラのドライバは高温状態になるため,高効率な冷却手法が求められる.改良点として,拡大伝熱面を用いた強制空冷やヒートパイプクーラにより,ガルバノミラの高速駆動を実現する.また,計測した3次元3成分の速度成分は,DNSデータと比較検証する.計測した速度分布から3次元大規模渦構造(コヒーレント構造)による運動量輸送時間スケールを熱伝達モデルに組込み熱伝達率を推定し,高速赤外線カメラで計測した熱伝達率の実験値と推測結果とを比較し妥当性を検証する.バックステップ流れで現れるコヒーレント構造の流体による運動量輸送と熱輸送に関するアナロジを明らかにする.
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