研究課題/領域番号 |
21K03908
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
研究代表者 |
中村 元 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 教授 (80531996)
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研究分担者 |
山田 俊輔 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 准教授 (90516220)
船見 祐揮 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 講師 (70738004)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 流動沸騰熱伝達 / 計測 / 可視化 / 赤外線イメージング / 可視透明ヒータ / 時空間変動測定 / 沸騰熱伝達 / 高時空間分解測定 / 赤外線カメラ / 微細流路 |
研究開始時の研究の概要 |
高速度赤外線カメラを用いた手法により,矩形微細流路内の流動沸騰に伴う熱伝達変動を高時空間分解で定量測定する.赤外線および可視光を透過する窓材上にITO薄膜ヒータを成膜した伝熱面を用いることで,流路内の流動状態を同時に可視化する.熱伝達測定の時空間分解能を高めるため,石英をベースとした低熱伝導率の窓材を使用する.測定データから,薄液膜蒸発,ドライアウト,リウェッティング等の各種素過程に対応した熱伝達変動特性を明らかにするとともに,スラグ流,環状流等の各流動形態における熱伝達変動の定式化を試みる.
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研究実績の概要 |
R4年度に実施した主な内容を以下にまとめる. 1) 矩形微細流路の実験装置製作:ヘッドタンク,純水装置,脱気装置,加熱用熱交換器,予熱器,測定部,冷却用熱交換器から成る実験装置を製作した.測定部はポリカーボネート製であり,辺長2 mm,長さ180 mmの矩形流路を形成した.矩形流路底面の一部を可視透明ヒータ(フッ化カルシウム窓材の上面に幅2 mmのITOを成膜したヒータ)を設置した.本実験装置により,水の質量流束100~200 kg/(m2・s)程度,ヒータの加熱熱流束~190 kW/m2の条件で流動沸騰(気泡流およびスラグ流)の生成が可能であることを確認した. 2) 流動沸騰の熱伝達変動測定:上記装置の測定部において,流動沸騰の挙動を2台の高速度カメラを用いて上方および下方から撮影した.同時に,ヒータ(ITO膜)の温度変動を,下方から金ミラーを介して高速度赤外線カメラ(2000 Hz,0.2 mm/pix)で測定した.その結果,気泡生成,薄液膜蒸発,ドライアウト,リウェッティングによる高速な熱流束変動の測定が可能であることを確認した.これにより,各流動パターンに対応した瞬時の熱流束分布とその時間変動を定量的に把握することが可能になった.また,気体スラグの成長に伴う薄液膜の形成により熱流束が大きく上昇することを確認した. 3) 沸騰による壁温変動の予測に関する基礎的検討:液滴内の沸騰気泡生成に伴う熱伝達変動を簡易にモデル化し,このモデルを境界条件とした熱伝導シミュレーションを行った.壁面の材質を変化させたシミュレーションを行った上で既報の解析解と比較・検討した結果,壁温変動振幅は基本的には壁面の熱浸透率に反比例することが示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した 1) 伝熱面作成および光学特性評価,2) 微細流路の実験装置製作,3) 流れの可視化および熱伝達変動測定,4) 熱伝達変動のメカニズム解明,5) 研究成果の公表のうち,R4年度までに 1)~3) を実施した.現在,微細流路実験装置の改良や測定の改善により実験データの信頼性や空間分解能を高める取り組みを行っているところであり,R5年度には 4) 熱伝達変動のメカニズム解明に向けた実験データを取得できる目途がついた.
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今後の研究の推進方策 |
R5年度には,以下の内容を実施する予定である. 1) 実験装置の改良:矩形流路実験装置の流動を安定させるため水をポンプで駆動するとともに,コリオリ流量計を用いて流量を測定する.また,微細流路入口でのクオリティを評価するためのミキシングチャンバーを設ける.測定部をアルミニウム製として実際の熱交換器の加熱条件に近付けるとともに,流路壁と流路内の温度測定には白金測温抵抗体を用いて測定精度を高める.流路内の圧力損失の情報を得るため,差圧計測も実施する予定である.実験条件(質量流束,予熱器加熱量,微細流路加熱熱流束)を調整して,各種流動形態(気泡流,スラグ流,環状流など)の測定を可能にする. 2) 赤外線計測の空間分解能向上:高性能赤外線カメラ(フレームレート2000 Hz,画素分解能25 μm/pix)を用いた受託計測を実施する.同時に,R4年度と同様に流路の上下方向から沸騰気泡の挙動を高速度カメラで測定する. 3) 伝熱面の熱物性値の影響調査:伝熱面に用いる赤外線透過窓材として,フッ化カルシウムに加えて,熱物性値の異なるサファイア,赤外線透過ガラスを用いた測定を行い.伝熱面の熱物性が温度変動に及ぼす影響を調査するとともに,温度変動の違いが沸騰形態の変化を引き起こす可能性について調査する.本測定を通して,一般に伝熱面の熱物性値が熱伝達変動にどのような影響を及ぼすかについての知見を得る. 4) 熱伝達変動のメカニズム調査:各流動形態(気泡流,スラグ流,環状流など)において測定した熱伝達変動を各素過程(強制対流,薄液膜蒸発,ドライアウト,リウェッティング等)に区分して熱伝達変動のメカのズムを調査する.その上で,各流動形態の熱伝達特性について,各素過程の寄与度の観点から明らかにする.また,熱伝達の特徴的な変動周波数,変動振幅,空間波長等を調査し,熱伝達変動のモデル化の可能性について検討する.
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