研究課題/領域番号 |
21K03912
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
幕田 寿典 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (40451661)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 蓄熱 / マイクロカプセル / 糖アルコール / スラリー / エナジーハーベスティング / シリカ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、現在ほとんど有効活用されていない100~200℃の中低温排熱を有効活用すべく、熱エネルギーを蓄える媒体の開発と貯めた熱を利用する際の熱源としての特性を調べるものである。熱媒体としては、キシリトールをはじめとする糖アルコールを用い、その融解・凝固の際の吸熱・放熱を利用して熱を蓄え利用する。また、熱および形状保存安定化のためにカプセル化、流動性の付与のためにスラリー化を行い、汎用性の高い蓄熱媒体の創出を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、有効活用されていない100~200℃の中低温排熱利用の画期的なプラットフォームとなりうる蓄熱マイクロカプセルを目指している。 これまでの研究においてオルトケイ酸テトラエチルを膜物質の前駆体として用いてエリスリトールを内包したシリカ蓄熱マイクロカプセルの調整に成功しているため、3年目の研究では、超音波印加時間および分散媒体としているシリコンオイル粘度の最適化によって溶融エリスリトールの液滴をより微細化することに成功し、前年度まで平均30μm程度だった大きさを20μm以下にすることができている。また、更なる耐久性の向上を目的としてカプセル膜を多重化する試みも行い、オルトチタン酸テトラブチルを前駆体として用いてシリカ蓄熱マイクロカプセルにチタンコーティングを施すことにも成功している。また、シリカ蓄熱カプセルを高温で加熱することで内部のエリスリトールが分解・蒸散し中空構造のマイクロカプセルとなることも発見した。 熱物性評価についてはDSC測定を行い最適化によって20μm以下に微細化したシリカ蓄熱カプセルおよびチタンコーティングしたシリカ蓄熱カプセルにおいて蓄熱密度180J/g以上となることを確認し、昨年度までの蓄熱密度約150J/gから2割以上増加していることが確認できた。 蓄熱スラリーを用いた蓄放熱システムの検証では断熱容器内にシリコンオイル中に蓄熱カプセルを分散させた蓄熱スラリーを封入し、マグネチックスターラーによる攪拌の物理刺激物理刺激を加えることで過冷却解除を誘発し、スラリーの温度が10℃以上上昇することが確認できた。一方、室温環境下で保管する際に自然に過冷却解除されてしまうカプセルも一定量存在することが確認されたため、蓄熱後に室温程度まで下げる際の過冷却解除を抑えつつ任意のトリガーで過冷却解除がしやすいような膜の改良も今後の継続課題として取り組む予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた研究として蓄熱カプセルの生成・最適化については数値目標を達成しており、順調に研究が進展している。また、チタンコーティングによる膜の多重化や加熱処理による中空化などにも成功しており、順調に研究が進展している。
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今後の研究の推進方策 |
蓄熱カプセルの大きさや安定性を左右するパラメータについては、引き続き各パラメータおよびその組み合わせの最適値を探る。特に粒径の微細化および径の均一化はカプセル収率や耐久性の改善につながるため重点的にアプローチを行う。また、新たな課題として室温に下げるまでの過冷却解除の抑制と利用時の過冷却解除の容易性の両立が必要となる点については、膜形成時の条件(界面活性剤の添加やシリカ前駆体のブレンドなど)の最適化も図り好適な条件を探っていく。また、チタンコーティングや中空化についても機能検証を進める予定である。
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