研究課題/領域番号 |
21K03917
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
谷川 洋文 九州工業大学, 大学院工学研究院, 助教 (80197524)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 固体高分子形燃料電池 / 多孔質 / 調湿性 / 格子ガス法 / 燃料電池 / 調湿流路 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,燃料電池内の生成水量を調整・管理するため,カソード側ガス流路を調湿効果のある素材で形成することで,積極的に余剰生成水を回収し,この余剰生成水を酸化ガスの流動で固体化高分子燃料電池の固体高分子膜の加湿に利用することを可能とする生成水を勝手に自己管理する多孔性調湿素材で構成された固体高分子形ウオーターフリー燃料電池を開発する.まず(1)多孔性調湿ガス流路素材の選定と内部水分挙動と調湿特性の関係を明らかにし,次に(2)調湿ガス流路の最適構造の検証を行うことで,本研究で提案する固体高分子形ウオーターフリー燃料電池の具現化の可能性を明らかにする.
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研究実績の概要 |
動的調湿性を有する燃料電池を実現するための多孔性調湿ガス流路形成する調湿素材の選定に関して,まず,調湿,冷感インナーとして使用されている繊維素材も多孔性調湿ガス流路形成する調湿素材で流路を製作し,吸水性,乾燥性,耐久性を紙素材と比較し検討した.流路は布を3枚重ねて形成した.結果,調質性,耐久性は紙素材よりも高いことが分かった.なお,もう一つの流路素材として考えていたプラスチック等のバインダーに調湿粒子(アパタルジャイト)を混ぜたものの流路形成に関しては,メーカーより素材を送ってもらい自作を試みている.しかしながら耐久性に問題があり,次年度形成法等を再検討する.よって,まずは繊維素材で形成した流路を用いて今後の実験を進める. 発電時のセルの水分量変化計測並びに水分分布の可視化を可能とする実験システムを構築し,まずは無発電状態を想定した実験を行った.流路形状,流路幅等は昨年度の数値解析結果から決定した.水分量は電子天秤でその変化を計測し,同時に水分分布変化をタイムラプス動画撮影し,両データが対応できるようにした.また,格子ガス法による3次元計算と,無発電時のセル内の水分量変化を定量的に調べられる有限差分法による1次元解析プログラムを新たに作成し,実験結果との比較を行った.結果,格子ガス法による3次元計算と実験結果で得られた水分分布変化は各流路形状において定性的ではあるがよく一致している.また,有限差分法による解析で無発電時のセル内の水分変化が定量的に求められることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に予定していた動的調湿性を有する燃料電池を実現するための多孔性調湿ガス流路形成する調湿素材の選定に関して,まず,調湿,冷感インナーとして使用されている繊維素材も多孔性調湿ガス流路形成する調湿素材で流路を製作し,吸水性,乾燥性,耐久性を紙素材と比較し検討した.結果,調質性,耐久性は紙素材よりも高いことが分かった.まずは繊維素材で形成した流路を用いて今後の実験を進める.なお,もう一つの流路素材として考えていたプラスチック等のバインダーに調湿粒子(アパタルジャイト)を混ぜたものの流路形成に関しては,自作したものの耐久性に問題があり,次年度形成法等を再検討する. 流路形状,流路幅等は昨年度の数値解析結果から決定した. 発電時のセルの水分量変化計測並びに水分分布の可視化を可能とする実験システムが構築できた.それを用い,まずは無発電状態を想定した実験を行った.水分量変化と水分分布の同時計測が可能となった.また,格子ガス法による3次元計算から,各流路形状における実験結果で得られた水分分布変化の定性的な比較ができている.また,無発電時のセル内の水分量変化を定量的に調べられる有限差分法による1次元解析プログラムを新たに作成し,無発電時のセル内の水分変化が定量的に求められることがわかった.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,最終年度であり,動的調湿性を有する燃料電池を実現するための多孔性調湿ガス流路の最適形状を明らかにする.実験では初年度に選定したガス流路形状候補において,発電量測定と同時に,セルの質量変化測定,カソード側の水分分布変化の可視化,セル内温度変化の測定を行う.流路素材は,調湿,冷感インナーとして使用されている繊維素材とする.なお,もう一つの流路素材として考えているプラスチック等のバインダーに調湿粒子(アパタルジャイト)を混ぜたものに関しても,実現の可能性を検討する.また数値解析においては,格子ガス法による3次元計算と,有限差分法による1次元解析プログラムから,実験結果の妥当性を検証する.多孔性調湿ガス流路素材の選定と内部水分挙動と調湿特性の関係を明らかにし,調湿ガス流路の最適構造の検証を行うことで,本研究で提案する固体高分子形ウオーターフリー燃料電池の具現化の可能性を明らかにする.
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