研究課題/領域番号 |
21K03922
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
田中 三郎 日本大学, 工学部, 准教授 (30713127)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | エネルギーハーベスティング / 熱電 / 薄膜 / 界面 / 熱抵抗 / 計測 / 熱伝導率 / ナノマイクロ熱工学 / 熱電変換 / 界面熱抵抗 / フォノン / 熱伝導 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,熱と電気を直接変換できる熱電材料と異種材料との接触部で起こる界面熱抵抗を薄膜の熱伝導率計測技術を用いて計測することで,熱電材料の界面熱抵抗のメカニズムを解明する.それにより,熱電変換効率を飛躍的に向上させることが期待され,身の回りにあるわずかなエネルギーを採取するエネルギーハーベスティング技術に用いられる微小未利用エネルギーの回収を最大限に行われる熱電材料の創製に貢献する.
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研究実績の概要 |
熱電材料に用いられるビスマスおよびテルルの薄膜を高真空蒸着法により成膜し,その膜厚を触診計測装置で測定した結果,蒸着源から基板までの位置関係で数100nm(ナノメートル)であることを確認した.界面熱抵抗の計測には3オメガ法を応用して前述の表面の温度上昇を計測した結果,蒸着源からの距離によってその温度上昇が異なることを確認し,蒸着源からの距離は,105mm,110mmおよび115mmの3水準,印可周波数は100~1000Hzの範囲で実施した.蒸着源からの距離105mmで作製したサンプルの表面の温度上昇と周波数との決定係数は0.994,110mmの場合は0.994,115mmの場合は0.988であり計測範囲周波数内においては線形性が保たれており,各周波数における表面の温度上昇と蒸着源からの距離との増加率も線形的になっており,サンプル厚さに対応した熱抵抗を検出できたものと推察される. エネルギーハーベスティング型の熱電デバイスは小さな温度差により発電可能であるが,発電量が小さいことに加え定常状態における温度差を確保することが困難である.そこで,本研究では温度差の確保を軸にした熱電デバイスを作製して,熱電デバイスの性能と界面熱抵抗との関係を調査している.熱電デバイスの温度差確保には熱伝導率が低い材質に設置して,高温熱源に設置することで発電可能な熱電デバイスを設計している. 現在までにアルミナ基板上に成膜したサンプルを用いて,薄膜熱伝導率の計測手法である3オメガ法を用いて界面熱抵抗の指標として用いる表面の温度上昇を計測し,その結果が膜厚により異なっていることを確認できた.また,フレキシブル基板に作製した熱電素子を用いた熱電デバイスの試作を進めており,その性能評価を実施する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画で挙げていた界面熱抵抗の計測用サンプルのビスマスおよびテルルの積層膜の作製をすることは予定通りに進んだ.また,単層のサンプルの界面熱抵抗の指標として用いる表面の温度上昇を3オメガ法により計測することができた.また,最終目標となるエネルギーハーベスティング型の熱電デバイスの性能と界面熱抵抗との関係を明らかにするため,温度差を得られやすい熱電デバイスを試作して,その性能を評価する実験を進めている.ただし,界面熱抵抗値までは得られていないため,進捗を「おおむね順調に進展している」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
薄膜の熱伝導率計測である3オメガ法を用いて,積層薄膜サンプルの表面の温度上昇と単層薄膜サンプルの結果を比較検討し,その妥当性を評価する.また,作製した熱電デバイスの性能と積層薄膜サンプルとの関係について調査を順次進めていく.当初の計画通り,数値計算による界面熱抵抗の諸因子の調査を実施する.
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