研究課題/領域番号 |
21K03927
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20010:機械力学およびメカトロニクス関連
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
松本 大樹 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (50374757)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 流れの可視化 / 空力騒音 / ロックイン現象 / 非周期タイル構造 / 振動モード / ピーク音 / 渦音 / 空気力学的騒音 / 流体関連振動 / 同期現象 / 空力自励振動現象 |
研究開始時の研究の概要 |
大型ディーゼルエンジンなどの消音器の流路拡大部分ではパンチングメタルが用いられることが多いが,そこで非常に大きなピーク音が発生することがあり,その対策が急務である.通気状態のパンチングメタルでは,複数の孔からの噴流を乱すことで低騒音にするはずが,特定の条件では逆に強いピーク音を発生する同期現象が生じる場合がある.本研究では,小孔群からの渦流出時の同期現象の詳細な観測から,渦流出の秩序化現象のメカニズムを解明することで,新たな騒音抑制技術を開発することを目的としている.
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研究実績の概要 |
これまでの研究では,噴流群のミスト法による可視化の結果,噴流から流出する渦の位相が同期することが卓越音発生の条件の一つと考えられることが予想された.千鳥配列の孔を有するパンチングメタル板は流速条件により卓越した騒音を発生し,その流速条件での流れの可視化により,渦流出が同期する状況が観測できていた.このため,本年度は,噴流同士の干渉状態を変化させて渦の同時流出による圧力変動を低下させるべく,孔間隔が周期的ではない状態を作り出し,騒音抑制を試みた. 孔間隔を不規則にするために,非周期タイル構造と言われるhatタイルを参考にパンチングメタルを作製した.流れの可視化の結果,噴流から流出する渦の流出は同期性が低下することが明らかとなった.しかしながら,発生する空力騒音の特性には大きな変化は見られず,千鳥配列のパンチングメタルとほぼ同様な騒音特性となり,卓越騒音の抑制効果は現れなかった.このため,当初予想していたメカニズムと,卓越騒音が発生するメカニズムとの関連性は低いことが明らかとなった.本研究で考案しようとしていた噴流間の位相関係を変化させる騒音抑制の手法は有効ではないことが明らかとなり,研究の方向性を再考することとなった. その一方,抑制対象のロックイン現象を伴う卓越騒音の発生には,パンチングメタル板の板面に近接した位置で渦構造が出来上がることが必要であることが,流れの可視化によって明らかとなった.このため本研究では,騒音抑制方法を噴流群の位相特性の制御に求めるのではなく,パンチングメタル板面との距離に注目し,板面近くの渦生成を抑制するための断面形状の考案や,その渦により加振される平板の振動の抑制により騒音低下を求めることに有効性を求め,研究を進めることとした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究計画で想定されていた騒音発生メカニズムが,実際とは異なることを明らかにできた.得られた事実は,最終目標である騒音抑制への新たな手法への足がかりとなることは評価できる.しかしながら,その事実を元にした制御モデルは構築できておらず,計画に基づく評価としては「遅れている」とした.
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今後の研究の推進方策 |
卓越騒音対策として考えられる手法として,ロックイン現象を防ぐためには,パンチングメタル板への加振力抑制が最も効果的であると考えられる.そのことから以下の2点について,検討を進める.. 1.板面近くの渦生成を抑制する, 2.パンチングメタル板の振動モードとの関連から,局所的に孔を塞ぐ.
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