研究課題/領域番号 |
21K03947
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20010:機械力学およびメカトロニクス関連
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
澤田 祐一 京都工芸繊維大学, 機械工学系, 教授 (80273548)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | ソフトアクチュエータ / 負圧駆動 / 屈曲型アクチュエータ / 導電性ゴム / ブリッジセンサ / 直動型アクチュエータ / ソフトロボット |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,センサを統合した触覚を有する負圧駆動型ソフトアクチュエータの基本構造を確立し,その動特性を明らかにし力制御の基本手法を確立することが主目的である.これを達成するため,ソフトアクチュエータの内圧と形状変化を測定し,これを基に数学モデルを確立する.これを受けて,変形量とセンサ出力との関係性を明らかにするとともに,力学特性の解析結果に基づいて力制御系を設計し,触覚センシングに基づく力制御系の確立を目指す.また,確立できたソフトアクチュエータシステムを基本要素とした応用に関する研究も行う.
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研究実績の概要 |
令和3年度に実施した研究項目は,(1)Simscapeによる屈曲アクチュエータのモデリング,(2)導電性ゴムによるブリッジセンサの改良と角度センサへの応用,(3)導電性ゴムによるブリッジセンサによるアクチュエータの角度制御 であり,それぞれについて以下の結果を得た. (1)Multibodyアプローチによる屈曲型負圧アクチュエータのモデリング:令和2年度の研究により確立された静力学に基づく力学モデルに基づき,屈曲型負圧アクチュエータの屈曲シミュレーションモデルを確立した.ソフトアクチュエータの非線形性は,ばね要素および減衰要素に非線形特性を入れることで実現し,屈曲構造は多リンク構造を取ることにより実現した.屈曲シミュレーションモデルによる数値シミュレーションの結果は実験での屈曲との高い一致性を示しており,低速の屈曲動作をシミュレーションする上では問題ないことが確認できた. (2)導電性ゴムによるブリッジセンサの改良と角度センサへの応用:屈曲型負圧アクチュエータの屈曲角度を制御するためには,屈曲角度を内界センサにより計測する必要があるが,歪ゲージのような金属センサではシリコーンゴムとの剛性率のオーダーが違いすぎ,本研究で扱っているソフトアクチュエータには使用することができない.これに代わる導電性ゴムを用いたブリッジ型曲げセンサを屈曲型負圧アクチュエータ内部に組み込めるようにしたものを開発し評価を行い,良好な屈曲量の計測ができることを確認した. (3)導電性ゴムによるブリッジセンサによるアクチュエータの角度制御:前項で開発した導電性ゴムによるブリッジセンサを用いて,屈曲型負圧アクチュエータの角度制御を行うことを試み,PID制御によりフィードバック制御系を構築することで実現した.制御性能は実験により検証し,ステップ応答及びのこぎり波の変形参照入力には良好な追従性を示すことが確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究テーマでの課題は下記6項目であるが,現時点で研究が目標に達しているのは①~③である.④に関しては,触覚センサについての実現方法に目途が付かず,十分な進捗が無い状態である.一方で,直動型アクチュエータの開発は完了しており,これを人工筋肉として利用する研究を実施している.これは,⑥の応用研究に該当し,こちらが先行している状態である.⑤はまだ着手できていない.
①現有モーションキャプチャシステムを用いてソフトアクチュエータの内圧と形状変化について測定データを集め,これに基づき幾何学モデルと数学モデルの確立を目指す.②ソフトアクチュエータの内圧と先端部発生力の力学特性を明らかにする.③負圧駆動型ソフトアクチュエータと埋め込み型変形センサとの統合を行い,モーションキャプチャシステムとひずみアンプを用いて,変形量とセンサ出力との関係性を明らかにする.④前述の結果に基づいて力制御系を設計し,触覚センシングに基づく力制御系の確立を目指す.⑤制御器を機械学習による制御器に置き換え,アクチュエータの非線形性に応じた制御系の構築を模索する.⑥応用研究を進める.
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今後の研究の推進方策 |
次年度の研究では,前項の④に関して手掛けはするものの,優先順位を下げる予定である.これに代わり,⑤機械学習の導入 と⑥応用研究 を中心に進める予定である.応用研究では,現在,既に着手している直動アクチュエータによる人工筋肉を用いて,1リンクアームを駆動することを試みており,数値シミュレーションベースではある程度の角度制御ができるようになってきている.次年度は,これの実験装置を製作し,実機での検証を行う予定である.また一方で,小型の屈曲型負圧アクチュエータを用いたハンド機構の開発も進めており,これの力学的性質の検証と応用研究を進める予定である.経費の執行遅れに関しては,これらの研究において順次すすめる.
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