研究課題/領域番号 |
21K03973
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20020:ロボティクスおよび知能機械システム関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
積際 徹 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (90362912)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ロボット / 人間-機械協調系 / マンマシンインターフェース / 脳機能解析 / 脳賦活解析 / 筋賦活解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、筋肉や脳機能の賦活状態の計測を行い、作業に伴う人間の応答特性(運動・生体生理・心理情報)に関わる解析を行うことで、対象となる動特性に対して発現される運動特性を解明し、運動生成の本質解明に繋がる適応メカニズムの一端を明らかにする。得られた結果は理論の範疇に止まらず、機械操作や自動車操縦のような、力学的相互作用を伴う作業に付随する動特性調整や設計を定量的に実現するための有益な基盤情報となることが期待できると考えられる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、筋・脳賦活状態と運動特性、主観評価に関する統合的な解析を行うことによって、作業対象の動特性に対する人間の認知過程の一端について明らかにすることである。筋・脳賦活状態や運動に関わるデータと人間の心理状態を示すデータを紐付けることができれば、直感的かつ容易に操作・操縦できるような機器や操作インターフェースの具現化に貢献できると考えられる。そこで、本研究では、人間が操作する作業対象の動特性(例えば、インピーダンス特性として表現される慣性、粘性、剛性などの動特性)に対する人間の応答特性・認知過程を明らかにするために、三次元位置計測装置や力覚センサによる運動計測(人間の運動中の位置や力の計測)、光トポグラフィ装置(fNIRS)、筋電位計による脳血流変化量、筋電位計測を行い、得られた種々のデータに対する解析を実施する。加えて、主観的な感性評価によって得られたデータとともに多面的な解析を試みた。 本年度(2022年度)の研究成果としては、(1) 種々の作業に関する計測実験の実施、ならびに、(2) データ解析の遂行が挙げられる。具体的には、任意の動特性を設定できる歩行車を用いた被歩行補助者の歩容解析(歩行動作)や、画面表示遅延を伴うHMI操作(手指操作)、インピーダンス特性に対する人間の応答特性(手腕動作)を計測対象として、様々な身体部位を対象とした各種実験を実施し、得られた運動情報、生理情報等から、動特性に対する人間の応答特性に関するデータ解析を行うことができた。次年度以降は、種々の解析結果に関わる検討を通して、研究目的となる“作業対象の動特性に対する人間の応答特性・認知過程の一端について明らかにすること”を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度においては、種々の作業に関する計測実験を実施し、光トポグラフィ装置(fNIRS)による脳血流量計測や筋電計測、モーションキャプチャによる運動計測などにより得られた、作業・運動中における被験者の脳賦活状態や、筋賦活状態に関わるデータ、ならびに、運動に関わる位置・力データを相互的に解析し、実験対象となった作業や運動に対する人間の応答特性の一端を明らかにすることができた。当初の計画通り、作業や運動に伴う脳・筋活動の状態、ならびに、位置や力データなどに表れる運動情報を含め、作業対象の動特性に対応する人間の生体・生理情報に関する複合的な解析の一部が実現できたと考えられる。 今年度においては、任意の動特性を設定できる歩行車を用いた被歩行補助者の歩容解析(歩行動作)や、画面表示遅延を伴うHMI操作(手指操作)、インピーダンス特性に対する人間の応答特性(手腕動作)を計測対象として、様々な身体部位を対象とした各種実験を実施し、得られた結果についての解析を行った。今後は得られた知見をもとに解析を深化させるだけでなく、PDCAサイクルによる評価に基づきつつ、実験・解析を継続する予定である。次年度においては、作業対象の動特性や、人間の作業特性が、ヒトの応答に与える影響に関する本質解明を目指し、データ解析手法をさらに深化させ、得られた解析結果に関する考察を行っていく予定である。 なお、上述の実施項目に関して得られた知見・結果については、現在、データ解析と取りまとめを行っており、その一部については論文投稿ならびに学会発表を行っている。現段階においては、投稿論文2本が掲載される研究業績が得られているところである。以上より、本年度(2022年度)の達成度は、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間の3年度目となる2023年度の研究計画は、2022年度に引き続いて、作業対象が有する動特性や動作特性に対するヒトの認知能力や認知特性を解明するために、光トポグラフィ装置(fNIRS)を用いて操作・作業中の被験者の脳機能の賦活状態に関する解析を行うとともに、筋肉の賦活状態や運動情報、主観評価に関わる種々のデータについての解析を進めていく。これらの研究を通して、生体・生理情報を含めた複合的なデータに関する解析結果から得られた知見群に基づき、作業対象の動特性や動作特性、人間の作業特性がヒトの応答に与える影響の一端を明らかにしていくことを目指す。また、今年度については研究実施期間における最終年度となることから、全体的な総括に向けて、本研究を通して得られた知見・結果を広く公開すべく、昨年度に引き続いて、論文執筆を行う予定である。 なお、研究が当初計画どおりに進まない場合の対応として、それぞれの研究実施段階において、PDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルを確立し、着実に遂行していくことで常にフィードバックを行い、研究実施計画に支障が生じないよう、改善を図る予定である。
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