研究課題/領域番号 |
21K03981
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20020:ロボティクスおよび知能機械システム関連
|
研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
菅原 研 東北学院大学, 情報学部, 教授 (50313424)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 群ロボット / 構造物構築 / 構造形成 / 化学シグナル / 自己修復 / 空間構造形成 / 動的構造物 / 最小全域木 / 動的安定 |
研究開始時の研究の概要 |
多数の能動的あるいは受動的部材が散在している空間において、 群ロボットが部材の運搬と着脱を繰り返す中で、動的安定な構造物を作る仕組みを開発する。ロボットは簡単な移動機構と部材把持機構、複数の化学センサを有し、確率的に動くものとする。構造物の構造に関する情報はロボットにはなく、能動的な部材に含まれる。能動的な部材は簡単な情報処理系、近接通信系および着脱機構を有し、近傍のロボットに働きかけることで、構造物の積極的な修復・成長・強化を促す。受動的な部材は構造物の厚みや強度を制御するために使用される。化学シグナルの局所性や反応特性を積極的に活用することで柔軟かつ適応的な構造物構築法の確立を目指す。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、群ロボットが「ブロックの運搬と局所的な着脱を常に行うことで、動的平衡状態で構築される構造物」を可能とする枠組みの中で、静的安定構造物がもたない特性(特に修復、成長、適応が適切に発現する特性)を有する動的構造物を構築するロボットシステムを開発することである。 今年度はアクティブブロックにより空間構造の骨組みを構成し、その骨組みの周囲に構造物を形成する方法を新たに考案し、基本特性を計測した。分散する部材を骨組みに向けて凝集する作用と、骨組みから排斥する作用をバランスさせることで構造物を形成する。構造物の形状に関する情報は骨組みとなるアクティブブロックが有し、ロボットはブロックが発する簡便なシグナルに応じてパッシブな部材を動かすような単純な動作をすることで任意の形状の構造物を構築するものとなっている。 各ロボットは複数のモードを有し、アクティブブロックからのシグナルに対して、それぞれのモードに応じた領域で作業する。モードが切り替わることで、作業領域に変更が生じることから、構造物の一部の損壊発生が不可避となっている。しかしながら、構築されている構造物は動的安定な特性を有しているがゆえに、損壊部分の修復も自然発生的に行われる。 モード切り替え時にそのロボットは化学シグナルを発する。シグナルが拡散・蒸発することで他のロボットを誘引することができる。それにより修復の促進や損壊箇所の強化を行うことも可能になるのでは、というのが今年度新たに着想を得た主な点である。コンピュータシミュレーションにより検証し、着想通りに修復が促進されることが確認できたことから、その基本特性について計測をおこなった。また、導入した化学シグナルの特性を活用することで単なる修復だけでなく、損壊箇所の強化にも拡張できる可能性についても、部分的に確認することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画に対し、大枠としては概ね順調に進展しているが、研究項目ごとに注目すると、遅れているもの、当初計画以上に進展しているものがある。 当初掲げた6つの項目のうち、3項目はおおむね順調、1項目は研究期間中に着想した新たな提案により当初計画以上に進展、2項目はやや遅れている状況にある。やや遅れている2項目「損壊に対する強度強化や外圧に対する負荷分散などの適応的なふるまいを示すアルゴリズム」「実験用小型ロボットを用いた定性的な検証実験」のうち、前者については現時点ではやや遅れているものの、新たな提案に基づく枠組みの中で当初の見込みに沿う結果が得られる可能性が十分あると考えている。後者については、大学の改組ならびにキャンパス移転といった学内事情の影響から研究時間が十分な時間が確保できず、本格的に稼働するには至っていないものである。したがって、研究期間を延長することで当初予定通りに進展することは可能であると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
本課題は「研究遂行に想定以上に時間を要したもの」「研究実施場所の変更(工事など)によるもの」として補助事業期間延長が承認されている。この期間を用いて、「損壊に対する強度強化や外圧に対する負荷分散などの適応的なふるまいを示すアルゴリズム」については、新たな提案に基づいた枠組みで当初予定していた目標に到達することを目指す。「実験用小型ロボットを用いた定性的な検証実験」については、延長により時間が確保できる見込みであることから、当初予定した目標に到達できるものと考えている。
|