研究課題/領域番号 |
21K03984
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20020:ロボティクスおよび知能機械システム関連
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
橋本 学 中京大学, 工学部, 教授 (70510832)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 動作分析 / 判断根拠 / 身体性ギャップ / 共通動作モデル / 熟練度推定 / 機能認識 / 物体認識 / ロボット動作生成 / 熟練スキルの解明 / スキル獲得 / 協働ロボット / 深層学習 / ヒューマンセンシング / 熟練者 / 動き分析 / ロボット動作 |
研究開始時の研究の概要 |
近年の労働力人口の減少や「3密」回避を目的としたヒト・ロボット協働型生産システムの実現を目指し,組立て作業における熟練者の暗黙知的なスキルを形式知化し,ロボットがヒトの熟練技を受け継いで永続的に再利用していくための仕組みを作り上げる.「熟練者だけが持つ無駄のない動きとは何か」を解明し,現実のロボット動作として再現する方法を確立する.ヒトの両手,体,視線,および対象物体の位置・姿勢をセンシングし,深層学習(LSTM)ベースの分析により,熟練者特有の動きパターンを抽出する.さらにこれを,ヒトとロボットの間に存在する構造・運動機構上の違いを考慮しつつ,中間動作表現を用いて解決する.
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研究実績の概要 |
R5年度は,(1)動作識別法の改良および内部分析の手法,(2)ヒトとロボットの身体性ギャップを考慮したロボット動作生成手法,(3)料理タスクを想定した共通動作モデルに関する検討をおこなった. (1)については,これまでに開発したSpatial Temporal Graph Convolutional Networks(ST-GCN)ベースのスキルレベル識別手法に加え,SubgraphXをベースとしたスキルレベル分析手法を開発した.ST-GCNは,組立作業時の骨格データを手や肘,肘や肩などの関節間のつながりを表現したグラフデータから特徴抽出することができるネットワークモデルである.また,SubgraphXはGNNのアテンション分析手法であり,学習済みのST-GCNからスキルレベルの判断根拠を時間的かつ空間的に抽出することができる.52シーケンスにダウンサンプリングした10秒程度のデータを用いた実験により,たとえば,仮締めの動作における右手首と右肘にアテンションが集中していること,また,仮締め動作における左手首と左肘にもわずかにアテンションが集中していることなどが明らかになり,本手法の有効性を実証できた. (2)については,熟練者の無駄のない動きのロボット転移を実現するため,ある部品に対して事前に教示した組み立て作業時における人間にとって最適な把持点を手掛かりとして,別部品におけるロボットにとっての最適な把持点を決定する手法を提案した.実際にロボットを用い,対象物としてコネクティングロッドを用いた実験の結果,動作成功率は83.0%であることを確認した. (3)については,同一目的で使用されるさまざまなサイズや形状の道具に対して,共通的に利用できるモデルを1つ用意し,センシングした機能情報を反映することによって軌跡を生成する手法である.これについても,実験により有用性を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
R5年度は,熟練スキルの分析に関しては,グラフニューラルネットワークのアテンション分析手法を適用し,有効性を確認することができたことから,着実に遂行できていると判断している. 別部品におけるロボットにとっての最適な把持点を決定する手法についても,人間にとって最適な把持点を手掛かりとして,別部品におけるロボットにとっての最適な把持点を決定し,有効性を確認することができたことから,着実に遂行できていると判断している. また,料理タスクにおいても,人の円滑な動きをロボットに反映させる手法を提案し,有効性を確認することができたため,着実に遂行できている.
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今後の研究の推進方策 |
R6年度は,本年度に新たに適用した,SubgraphXによる分析結果の有用性の検証と,SubgraphXによる分析手法の拡張に取り組む.具体的には,入力データのシーケンス長の拡張を考えている.これにより,作業時間が長く複雑な作業データに対しても分析可能なシステムの作成に取り組む予定である. また,別部品におけるロボットにとっての最適な把持点を決定する手法については,ハンド形状の違い以外の身体性ギャップを考慮し,人の動作を参考にしたロボット動作生成手法を提案する予定である.例えば,人とロボットでは,動作可能範囲が異なることや,関節の数が異なる.これらを考慮した動作生成手法を開発していく予定である. また,料理タスクにおける人の円滑な動きをロボットに反映させる手法については,軌跡の他に速度や加速度などの情報をロボットに反映させる手法の開発を予定している.
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