研究課題/領域番号 |
21K03987
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20020:ロボティクスおよび知能機械システム関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
原田 孝 近畿大学, 理工学部, 教授 (80434851)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 差動ネジ機構 / パラレルメカニズム / ミニチュアロボット / パラレルロボット / 動作範囲の拡大 |
研究開始時の研究の概要 |
顕微鏡下手術や航空機エンジン内部の点検保守などの狭い環境内で動作する,極小サイズで動作範囲の広い空間6自由度(位置3自由度+姿勢3自由度)ミニチュアパラレルロボットの開発を目的とし,以下をその方法として具体的な研究目標を設定する. (1) 研究のブレークスルーとして,軸径(D)1mm以下,リード6mm(進み角62度)以上,ネジ長さ(L)18mm以上の極小径・超長リード・大アスペクト比(L/D)差動ネジ機構を開発する. (2) 上記差動ネジ機構を搭載し,並進動作範囲±5mm,旋回角度範囲±45度,回転角度範囲±180度を実現する親指サイズの広可動域6自由度ミニチュアパラレルロボットを開発する.
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研究実績の概要 |
2022年度は2021年度に第一試作を終えた極小径・超長リード・差動ネジ機構の搭載に適した新しいパラレルメカニズムの研究を行った.研究開始時には,3自由度DELTAロボットを上下2個配置して各可動子(MP)間に小型ネジ機構を搭載し,差動ネジ機構を用いて出力部のz軸周りの回転運動を生成する機構を着想していた.しかしながら,3自由度DELTA機構のMPはベースと平行となる制約があるために,平行なMPに対して出力部をxy軸周りに傾斜させる自在継手などをMPに組込む必要があり,機構設計が複雑となりロボット機構が大型化してしまう.この問題に対して,2022年度はMP本体を傾斜させる自由度を組込んだ新しいパラレルメカニズムを着想した.さらには,パラレルメカニズムの全関節を球面ジョイントにて構成することにより,関節部分を小型化する機構を考案した.グリュブラー方程式を用いて,提案したパラレルメカニズムが6自由度を有することを証明し,3Dプリンタを用いた試作機により,動作検証を行った.提案した機構に関して特許出願を行うと共に,日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス部門講演会にて学会講演を行った. マルチボディダイナミクス解析ソフトウエアを用いた動作検証シミュレーションを行うと共に,これとマイコンを連携し,新しいパラレルメカニズムを含むロボット制御システムの構築方法を確立し,国際学会SII2023にて学会講演を行った. 極小径・超長リード・大アスペクト比差動ネジ機構に関しては,日本機械学会と韓国機械学会共同開催のICMDT2023にてキーノートスピーチを行った.関連する研究として差動ベルト機構に関してマルチボディダイナミクス動的非干渉設計方法を確立し,日本機械学会論文集に採択掲載された.また,本研究を差動ネジ機構を搭載したパラレルメカニズムへ展開し,日本機械学会年次大会にて学会講演を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画では2022年度から2023年度にかけて,極小径・超長リード差動ネジ機構を搭載したミニチュアパラレルメカニズムを開発する予定であった.昨年度の今後の方針でも述べたように,着想した機構はミニチュアパラレルロボットだけでなく通常サイズのパラレルロボットへも展開可能であり,2022年度はその機構解析に注力し,ロボット本体の試作には至らなかったが,国内および国際学会講演,論文投稿掲載に加えて,新しいパラレルメカニズムの特許出願も実施しており,おおむね順調に進展していると評価した. ミニチュアパラレルロボットの制御装置の構築も終えており,2023年度はメカ設計・試作と動作検証を行う計画である.新しいパラレルメカニズムは全関節に球面対偶を配置することで機構全体の小型化を実現する.球面対偶関節はリンク機構に冗長な自由度が含まれるために,従来のグリュブラー方程式では運動解析が行えない.そこで,新たにスクリュー理論を用いた運動解析に着手している.スクリュー理論はパラレルメカニズムの運動解析を行うための強力な理論体系であり,欧米ではその応用研究が盛んに取り組まれているが,国内での研究事例は少ない.そこで,スクリュー理論を応用して,球面対偶を含むパラレルメカニズムの運動解析を行うソフトウエアを開発し,その成果を2023年度日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス部門講演会に講演予定である. 特にスクリュー理論を用いた運動解析は,本研究のパラレルメカニズムだけでなく広く新しいメカニズムの運動解析へも適用できるために研究の波及効果が大きい.
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今後の研究の推進方策 |
当初計画通り,2023年度では開発した差動ネジ機構を手先に搭載し,並進動作±5mm,旋回角度±45度,回転角度±180度を実現する親指サイズ(直径25mm円筒サイズ)の広可動域6自由度ミニチュアパラレルロボットを開発する.開発目標は従来の世界最小の6自由度パラレルロボットと同程度のサイズとし,並進動作範囲と旋回角度は2倍以上,回転角度は5倍以上を目標値としている. ロボットのミニチュア化のために,2022年度に着想した球面関節を用いたパラレルメカニズムのミニチュア化を具現化する.微細加工用5軸NC加工機に加えて,高精度3Dプリンタを併用して,ミニチュアマニピュレータ本体を設計・試作する.過去の3自由度ミニチュアマニピュレータの研究に際して独自に開発した画像計測装置をバージョンアップして動作範囲検証および精度検証に応用する予定である.
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