研究課題/領域番号 |
21K04022
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21010:電力工学関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
野口 敏彦 静岡大学, 工学部, 教授 (10237828)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 可変界磁PMモータ / 透磁率変調 / 拡張MTPA / d軸電流 / q軸電流 / 零軸電流 / デュアルインバータ / 可変界磁モータ / 三相四線式インバータ / 零相電流 / ベクトル制御 |
研究開始時の研究の概要 |
電動自動車に採用される主機モータは専ら永久磁石(PM)モータである。高効率可変速運転を実現できるが,PMによる一定界磁のため,低速大トルク運転と高速運転を両立することは困難である。一般にマイナスd軸電流を流して(PMに対して逆磁界をかける)界磁弱め制御を行うが,銅損が増加して効率悪化を招く。そこで,PMによる界磁そのものを可変とする透磁率変調に基づく可変界磁PMモータを提案した。これは零相電流によってロータ磁極間の透磁率を変調して,PMの電機子鎖交磁束を制御するものである。従来のd軸,q軸だけでなく零軸電流と言う新しい自由度をもって拡張された最大トルク(MTPA)制御を実現できる。
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研究実績の概要 |
本研究課題は透磁率変調に基づく可変界磁PMモータにおいて,従来のd軸電流とq軸電流だけでなく透磁率変調を行って可変界磁を実現する零軸電流までも含めて三次元空間における最大トルク制御(拡張MTPA制御:Maximum Torque Per Ampere)を新たに構築し,従来のd軸電流とq軸電流だけからなる二次元平面上でのMTPA制御の枠組みを超えることを目的としている。 2022年度はより高出力が可能なデュアルインバータを用いて可変界磁PMモータを駆動し,更に拡張MTPAを適用することを検討した。まず,2台のインバータの直流バス(PレールとNレール)を共通化して,そこに透磁率変調巻線をP,Nどちらかに1個挿入する方式とP,N両方に1個ずつ挿入する方式を考案し,零軸電流を流す経路を確保した。結果的にはP,N両方に1個ずつ挿入する方式が損失低減の観点から有利であることが判明した。 一方,拡張MTPAの適用については,前年度に明らかとなったd軸電流,q軸電流,零軸電流の制御アルゴリズムに基づき,それをデュアルインバータに適用する手法を検討した。問題点として,PWM(Pulse Width Modulation)に空間ベクトル変調方式を採用するデュアルインバータでは,第3次高調波が電圧電流に生ずることがわかった。この問題点を除き,デュアルインバータでも良好に拡張MTPAを実現できることがシミュレーションによって確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の2年目である2022年度は,当初より次の研究計画で推進することとしてきた。(1) 既に試作を完了している透磁率変調に基づく可変界磁PMモータ(7.5kW相当)を用いて,三相4線式インバータシステムでd軸電流,q軸電流,零軸電流の同時独立制御を実験的に試みる。(2) デュアルインバータシステムについて複数の考案方式を種々の観点から比較評価し,1~2方式に絞り込む。絞り込まれたデュアルインバータシステムについてもd軸電流,q軸電流,零軸電流の同時独立制御を実験的に試みる。 これら(1),(2)の研究計画について,いずれも理論面での妥当性について確認することができ,シミュレーションによって若干の問題点はあるものの,概ね実現できることを確認できた。しかし,実験検証については実験システムの構築に想定外の時間を要し,達成することができていない。このため,「やや遅れている」と評するのが妥当であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は最終年度であるため,実験システムの構築と拡張MTPAの実験検証を行い,d軸電流,q軸電流,零軸電流の同時独立制御を実験的に確認する。特に,実用性を考えてデュアルインバータを用いたシステムに注力し,そのシステムで実機検証を進める。 このシステムは既存のコントローラと既存のインバータ主回路を活用して構築する。このため,研究開発活動は主に制御アルゴリズムの構築とプログラミング,デバッグと言ったソフトウェア開発が主軸となる。
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