研究課題/領域番号 |
21K04024
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21010:電力工学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
弓達 新治 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 助教 (40380258)
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研究分担者 |
門脇 一則 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (60291506)
尾崎 良太郎 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (90535361)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | フェーズフィールドシミュレーション / 電気トリー / 絶縁材料 / 多層構造 / 弾性率 / 電気トリーイング現象 / 機械学習 / ナノフィラー / ポリマーコンポジット |
研究開始時の研究の概要 |
電気絶縁材料開発の分野に,機械学習に基づく材料設計手法を導入する。絶縁材料設計の最適化においては,多くのパラメータ(組成,製法)が複雑に相互作用する。パラメータが多すぎるため,各種絶縁材料の劣化機構解明も容易ではない。材料開発の最適化は,数多くの実験の積み重ねにより行われ,国内外で莫大な量の実験データが存在する。過去に蓄積された豊富なデータを用いた機械学習により,「材料特性の最適化」と「開発期間の短縮化」の両立を目指す。また,機械学習を活用したデータ駆動型研究手法が導き出す結論をもとに,絶縁劣化現象に対する新たな物理的解釈の可能性を探求する。
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研究実績の概要 |
電気トリーイング現象は絶縁材料における全路破壊の前駆現象と考えられている。本年度は,弾性率の異なる2層モデルについて,電気トリー進展のフェーズフィールドシミュレーションをおこなった。近年,電気トリー進展による絶縁材料の全路絶縁破壊の抑制を期待して,そもそもの絶縁耐力に優れる高弾性率材料だけでなく,低弾性率材料を組み合わせた新規絶縁材料が提案されている。高弾性率材料のみを用いた場合よりも,全路破壊に至る電気トリー進展が抑制され,絶縁耐力が向上することを示す実験結果が報告されている。 弾性率の異なる2層モデルにおける電気トリー進展のフェーズフィールドシミュレーションをおこなうにあたって,電気トリー進展の主要な駆動力として,静電エネルギーだけでなく,弾性ひずみエネルギーを考慮した。低弾性率層中に配置された針電極先端で発生した電気トリーが,分岐を繰り返して樹脂状に,低弾性率層中を進展することが再現された。低弾性率層と高弾性率層の界面に到達した電気トリーは,界面を通過して,そのまま高弾性率層を進展して全路破壊に至るのではなく,電気トリー先端領域において電界緩和を生じた結果,主に界面付近を進展した。高弾性率層のみからなるモデルと比較することで,実験結果と同様に,弾性率の異なる2層モデルを用いた場合について,全路破壊に至る電気トリー進展抑制と絶縁耐力向上が確認された。新規絶縁材料の絶縁耐力向上要因を探ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
弾性率の異なる2層構造サンプルにおいて,高弾性率のみからなるサンプルよりも高い絶縁耐力を示す場合があることが報告されている。弾性率の異なる2層モデルについて,電気トリー進展のフェーズフィールドシミュレーションをおこなった。電気トリーが分岐を繰り返して樹脂状に進展することを再現できた。高弾性率層のみからなるモデルと比較することで,弾性率の異なる2層モデルを用いた場合の絶縁耐力向上が確認された。2層の弾性率の違いが.全路破壊に至る電気トリー進展を抑制し,絶縁耐力を向上させる要因を考察することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度,各種の実験データを活用した数値シミュレーションであるフェーズフィールド法を新たに提案されている電気絶縁材料に適用した。本年度は弾性率の異なる2層構造について計算した。今後,弾性率の異なる3層構造を含む多層構造について計算する。また,各層の層厚を最適化することで,より絶縁耐力に優れた絶縁材料モデルを求めて提案する。それに伴い,電気的特性,機械的特性に関わるパラメータだけでなく,多層モデル構築に関わるパラメータの最適化が必要となる。機械学習を用いることで,最適な構造・モデルを速やかに求めることを目指す。
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