研究課題/領域番号 |
21K04025
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21010:電力工学関連
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
渡邊 政幸 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (90398115)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 電力システム / 低慣性 / 仮想慣性 / WAMS / WADC |
研究開始時の研究の概要 |
電力システムにおける電力変換器連系型電源の増加による電力動揺特性の変化に対して,広域観測情報のフィードバックによる適応的かつ柔軟な電力システム制御による安定化方法を探究する。観測情報利用と最適化手法の組み合わせにより,特に同期状態を保つ能力の低下に着目したシステム安定化手順を確立し,その有効性をシステムモデルに基づくシミュレーションを用いて検証し,手法の有用性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
電力システムにおける電力変換器連系型電源の増加による電力動揺特性の変化,特に同期状態を保ちもとの状態に戻ろうとする能力の低下や慣性力の低下によるシステム不安定化に対して,本研究では,電力変換器連系型電源の制御によって仮想的に同期発電機と同等の慣性力を補償させる制御により,システムを安定化し信頼性を向上するための制御手法の構築を進めている。今年度は,仮想慣性制御と同期発電機の協調制御方式ならびにコントローラ設計方法について検討した。 仮想慣性制御に必要となるエネルギー貯蔵は有限であり,系統擾乱発生後にその容量不足によって仮想慣性制御が突然停止すると第二の系統擾乱発生につながる。そこで,エネルギー貯蔵の残量をモニタリングすることにより出力が消失する前に徐々に小さくするロジックを導入することで,同期発電機からの出力にスムーズに移行させる協調制御方式を構築した。低慣性状態を模擬したモデル系統を用いて有効性を検証した結果,擾乱発生時における仮想慣性制御による周波数最大偏差と周波数変化率の改善効果を発揮するとともに,容量制約によって生じる影響を軽減できることが確認できた。 また,本制御においては付随するコントローラによって制御性能が大きく変化することから,電力システムにおける不確実性に対しても性能を保証できるロバスト制御の適用によるコントローラ設計方法の構築を進めた。H無限大制御理論を適用し,制御対象および重み関数を含む一般化プラントを利用したコントローラ設計方法において,制御性能を決定付ける重み関数の設定方法について検討した。加えて,非整数階制御器と制御パラメータ最適化手法の適用によるコントローラ設計方法も検討し,高い制御性能を有することをシミュレーションによって明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
電力変換器連系型電源の増加による電力動揺の不安定化に対して,高い効果を有する仮想慣性制御方式を構築するとともに,既存の同期発電機との協調を考慮した電力システム安定化方策を検討し,モデル系統を用いたシミュレーションによってその有効性を評価することができた。研究目的に対する計画についてはおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
不確実性や状態変化に対しても高いロバスト性を有するとともに,エネルギー貯蔵の制約を考慮した上でより高い制御性能を有するコントローラを設計するため,最適化手法の適用も志向した設計方法を確立する。モデル系統を用いたシミュレーションによりその有効性の検証を行い,最終年度に向けた本研究の総括を行う。
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