研究課題/領域番号 |
21K04037
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21010:電力工学関連
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研究機関 | 神戸市立工業高等専門学校 |
研究代表者 |
赤松 浩 神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (10370008)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | プラズマアクチュエータ / ナノ秒パルス電源 / 衝撃波 / 無人航空機 |
研究開始時の研究の概要 |
放電エネルギーを流体運動に転換できる超薄型デバイスにプラズマアクチュエータ(PA)がある.このデバイスは能動的な気流制御能力のため航空機翼への搭載により失速時の揚力回復機構等に期待されている.また,近年ではPAを駆動する高電圧電源としてナノ秒パルス高電圧電源の有効性が報告されている.本研究ではPAの実用化にとって重要なPA電極系の耐久性向上を目的としている.小型無人航空機に搭載可能なバッテリー駆動の小型ナノ秒パルス高電圧電源の開発と,放電現象工学の知見に基づいてナノ秒パルス放電に特化した電極構造を提案することで,耐久性を備えたPAデバイスの開発を試みる.
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研究実績の概要 |
気体の放電現象を直接的に流体運動に変換できる超薄型デバイスとしてプラズマアクチュエータ(PA)があり,航空機の失速時の揚力回復機構等に期待されている.近年ではPAを駆動する電源としてナノ秒パルス高電圧電源を使用したPAの有効性が報告されている.本研究ではPAの実用化にとって重要なPA電極系の耐久性向上を目的としている.小型無人航空機に搭載可能なバッテリー駆動の小型パルス高電圧電源の開発と,放電現象工学の知見に基づいてパルス放電に特化した電極構造を提案することで,耐久性を備えたPAデバイスの開発を試みる. 2022年度の実施内容は,(1)2021年度に試作したバッテリー式小型ナノ秒パルス電源を使用した場合のPA電極機構の最適化および(2)回路素子数を減らし,より簡略化した小型パルス高電圧電源の開発である. (1)において,限られたバッテリーのエネルギーを有効にPAに付与するため,誘電体厚さおよびパルス電圧の極性がPAへの投入エネルギーに与える影響を調べた.誘電体厚みについて80umおよび160umの場合で評価した結果,80umの方が投入エネルギー密度が大きいことが分かった.またパルス電圧の極性は,正極性の方が投入エネルギー密度が大きいことが分かった. (2)において,パルス幅がマイクロ秒のパルス高電圧電源に着目した.近年,マイクロ秒パルス高電圧でのPAにおいてもナノ秒パルス電源と同様に,放電の衝撃波が気流制御を担うことが報告されている.ナノ秒パルス電源に比べ,マイクロ秒パルス電源は素子数を低減できる長所がある.試作電源では,次世代半導体スイッチの高速遮断作用を用いた誘導性パルス発生回路を試作した.本電源において,入力電圧24 Vに対して波高値3.5 kV,パルス幅1u秒,繰り返し周波数200 Hzのパルス高電圧の発生を確認した.また,本電源においてPAの点灯を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では,2022年度においてパルスにともなう流体挙動の観察を実施する予定であった.しかしながら,PAの電極構造の検討およびマイクロ秒パルス高電圧電源の試作に時間を費やしたため,衝撃波の観察および気流の可視化に関する実験が間に合わなかった.また,ナノ秒パルス高電圧印加によるPA上での衝撃波の発生について,数値解析コードの作成を開始した.現時点では,単純なケースにおいてパルス放電にともなう荷電粒子の挙動を模擬するところまで完成している.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の実験において,従来のPA電極系において,ナノ秒パルス高電圧電源による電極構造の最適化が検討できた.今後はそれらの結果を踏まえ,本課題で提案する新電極方式におけるパルス放電現象を,シュリーレン撮影およびPIV計測により観察する. とくに,当初予定していたナノ秒パルス高電圧電源だけでなく,2022年度に試作したマイクロ秒パルス高電圧電源において,パルス放電にともなう衝撃波が発生するか否かについても明らかにする.これらの実験をとおして,提案する新電極系の有効性および耐久性を明らかにする.また,2022年度から開始したPAのパルス放電現象および衝撃波の発生についての数値解析を進め,実験結果の補間とする.
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