研究課題/領域番号 |
21K04041
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21020:通信工学関連
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
菊間 信良 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40195219)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | MIMOレーダ / ターゲット方向推定 / 面的広がり / k-means法 / 圧縮センシング / バイスタティックMIMOレーダ / 仮想アレーアンテナ / モルフォロジー処理 / Capon法 / スパースモデリング / k平均法 / MIMO / レーダ / イメージング / 多次元スパースモデル / 機械学習 |
研究開始時の研究の概要 |
移動通信システム,無線LAN,レーダなどで幅広く使われているMIMO (Multiple-Input Multiple-Output) 技術を使って, 無線通信における端末の位置,レーダにおける目標物の位置を推定する.特にレーダ応用において,大きさをもつ目標物の認識精度を向上させるため,多次元スパースモデルと機械学習を用いて目標物の3次元的な広がりをも推定する高精度なイメージングを実現する.
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研究実績の概要 |
本研究では,移動通信システム,無線LAN,レーダなどで幅広く使われているMIMO (Multiple-Input Multiple-Output) 技術を使って,高精度に端末や目標物(ターゲット)の位置推定を行うことを目標としてきた.特にMIMOレーダを用いたターゲット推定は自動運転にも資する技術であるので期待されている.2022年度(令和4年度)の具体的な成果を以下に述べる. (1)MIMOレーダにおいて,送信リニアアレーのアレー軸と受信リニアアレーのアレー軸を直交するように配列し,受信側で仮想平面アレーを構成する.この仮想平面アレーを用いて,複数ターゲットの面的広がりを推定した.推定アルゴリズムとしては,Beamformerと圧縮センシング (MFOCUSS) を組み合わせた手法の性能が一番良いことが示された.また,ターゲット分離においては,2021年度から機械学習の一つとして適用を検討してきた,重み付けk-means法と重み付けなしのk-means法に加え,モルフォロジー処理の性能を解析した.その結果,重み付けk-means法の有用性が最も高いことが示された. (2)自動車の自動運転の実現や危険回避システムの実現のため,アレーアンテナの少ないスナップショットデータで電波の到来方向推定可能なアルゴリズムが期待されている.本研究では,MIMOレーダの一形態であるバイスタティックMIMOレーダに,圧縮センシングの1アルゴリズムであるR-MFOCUSSを適用し,ターゲットに対する出発方向 (DOD) と到来方向 (DOA) の同時推定性能改善を試みた.結果として,受信側でマッチトフィルタを用いる場合,スナップショット数をいくらか増加させることで推定精度を向上させることができることを示した.また,処理時間がスナップショット数によらないことを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MIMOレーダ(受信仮想アレーアンテナ)において,ターゲットの面的広がりと複数ターゲットの分類を精度良く行うことができることを示し,従来のレーダより性能が向上することを確認できた.特にBeamformerと圧縮センシングを組み合わせた手法 (Beamformer-MFOCUSS) の推定精度が高いことが示され,重み付けk-means法による分離性能の有用性も確認された.また,バイスタティックMIMOレーダに圧縮センシングのひとつであるR-MFOCUSSを適用し,ターゲットに対する出発方向 (DOD) と到来方向 (DOA) の同時推定性能改善を試みた.その結果,DODとDOAの推定精度を向上させることができることを示し,さらに処理時間がスナップショット数によらないことを確認した.DODとDOAの推定値からターゲットの位置が特定できるので,その成果の意義は大きい.以上のように本年度は,圧縮センシングを積極的に導入し,ターゲット推定性能の改善を図った.得られた成果から,2年目としてはおおむね順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
(1) MIMOレーダ用推定アルゴリズムの高性能化:MIMOレーダ用推定アルゴリズムとして圧縮センシングを用い,その基本特性を明確にしてきた.今後は圧縮センシングを改良し,更なる性能向上を図る.また,そのスペクトラム情報を用いたk-means法によるターゲット分類性能についても詳細に検討する. (2) MIMOレーダの受信アレーの仮想多次元化:MIMOレーダの送信側で,空間領域,周波数領域,角度領域,符号領域などにおいて仮想アレーの多次元化を行う.次年度は,ビームスペース方式の導入したアルゴリズムの解析を行い,有用性を探る.これにより,角度領域の処理を加えることになり,処理の効率化や性能改善が期待できる. (3) 電磁界シミュレータを用いたMIMOレーダの総合評価:有限要素法とレイトレーシング法を基本手法とする電磁界シミュレータを用いた自動車の方向推定を行う.シミュレーション環境の構築を行った後,本研究で提案した推定アルゴリズムの有効性を総合的に評価する.また,新たな課題が発生した場合は,アルゴリズムの改良へとフィードバックさせる.
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