研究課題/領域番号 |
21K04047
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21020:通信工学関連
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
中條 渉 名城大学, 理工学部, 教授 (40292289)
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研究分担者 |
小林 健太郎 名城大学, 理工学部, 准教授 (40583878)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 可視光通信 / イメージセンサ / ローリングシャッター / 空間分割多重 / 波長分割多重 / デジタルサイネージ / 均等色空間 / セグメンテーション / 空間合成 / カメラ / スマートフォン / LED / 空間多重 |
研究開始時の研究の概要 |
LED光の空間直進性とイメージセンサの高空間分解能特性を活かして,5Gの先に向けて近距離可視光通信の高速化に取り組む. 今後のマイクロLED技術の進展を見据え,多数の発光素子で構成するLED照明やディスプレイから,多数のLED光を送信する.オンオフキーイングやサブキャリア変調の手法を用いて,各LED光の振幅と位相を変調する.光の空間直進性により空間多重された多数のLED変調光を,イメージセンサの高空間分解能特性を活かして個別に受信する.イメージセンサで個別に受信した各LED変調光の振幅と位相を空間合成する.これにより背景の雑音光や干渉光を抑圧し高速化を実現する.
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研究実績の概要 |
本研究は,多数の発光素子で構成するLED照明やディスプレイを送信機,イメージセンサを受信機に用いる.オンオフキーイングやサブキャリア変調した多数のインコヒーレント光をイメージセンサで個別に受信し,変調光の空間コヒーレンス合成を実現する.2022年度は以下の4つの技術開発を進めた. (1)LED照明光とイメージセンサによる空間合成技術:スマートフォンのディスプレイと室内カメラを用いた空間分割多重技術を進展させて,低輝度化とデータレート向上を図った.低輝度化では高輝度セルサイズを縮小する方法を新たに開発した.従来の低輝度セルよりも広角にわたって安定したシンボル誤り率が得られた.データレート向上では,低輝度の波長分割多重/空間分割多重を開発し,データレートを従来の2倍に向上させた. (2)複眼カメラによる空間合成技術:液晶ディスプレイバックライトによる位相シフトキーイング(PSK)変調の複眼カメラによる信号点の補償技術を開発した.複眼カメラを用いて信号点を補償することで、重畳画像に関係なくPSK変調の信号点のばらつきを抑えられることが明らかとなった. (3)液晶ディスプレイバックライトの空間合成技術:標準画像を重畳した液晶ディスプレイバックライト変調に最適な逆パルス位置変調(I-PPM)の評価を行った.I-2PPM, I-4PPM, I-8PPMのシンボル誤り率を比較し,I-2PPMが画像重畳に適した変調方式であることを明らかにした. (4)ディスプレイ映像に重畳されたデータ信号の空間合成技術:複数の色度成分へデータ信号を重畳するダイバシチ変復調技術を新たに開発し,データ信号を重畳する画像によらず安定した誤り率特性が得られることを明らかにした.また,セグメンテーションを用いてデータ信号を重畳する変復調技術を新たに開発し,同じ通信品質において視覚品質を高く担保できることを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)LED照明光とイメージセンサによる空間合成技術: スマートフォンのディスプレイと室内カメラを用いた空間分割多重技術を進展させて,低輝度化とデータレートを大幅に向上できた.低輝度化では,高輝度セルサイズを縮小する方法と従来法について広角でのシンボルエラーレートを比較し,物理層セキュリティにおける優位性を明らかにした.データレート向上では,低輝度の波長分割多重/空間分割多重で600キロシンボル/秒を達成した.得られた成果を学術誌IEICE Communications Expressに論文を投稿し掲載された.おおむね順調に進んでいる. (2)複眼カメラによる空間合成技術:液晶ディスプレイバックライトによる位相シフトキーイング(PSK)変調に,複眼カメラによる信号点の補償技術を用いることで,重畳画像に関係なく4相PSK(QPSK)でエラーフリーを実現した.おおむね順調に進んでいる. (3)液晶ディスプレイバックライトの空間合成技術:標準画像を重畳した液晶ディスプレイバックライト変調に最適な逆パルス位置変調(I-PPM)を比較し,I-2PPMによりすべての重畳画像に対して0.7キロビット/秒でエラーフリーを実現した.得られた成果を電子情報通信学会ワイドバンドシステム研究会で発表した.おおむね順調に進んでいる. (4)ディスプレイ映像に重畳されたデータ信号の空間合成技術:得られた成果を国際会議IEEE ICC (OWC Workshop),電子情報通信学会ワイドバンドシステム研究会等で発表した.また,複数の色度成分へデータ信号を重畳するダイバシチ変復調技術について学術誌IEICE英文論文誌Aに論文投稿し,査読中である.おおむね順調に進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
(1)LED照明光とイメージセンサによる空間合成技術:スマートフォンのディスプレイと室内カメラを用いた空間分割多重技術について,さらに低輝度化とデータレート向上,物理層セキュリティ強化を図る.周囲光の影響を受けてもシンボル判定が可能な技術を開発する.空間4パルス位置変調(4PPM)を用いることで,閾値学習を行わなくてもシンボル判定を実現する技術を開発する. (2)複眼カメラによる空間合成技術:液晶ディスプレイバックライトによる位相シフトキーイング(PSK)変調の複眼カメラによる信号点の補償技術を発展させ,8PSKや直交振幅変調(16QAM)について複眼カメラの有効性を確認し,ビットレートの向上を図る. (3)液晶ディスプレイバックライトの空間合成技術:標準画像を重畳した液晶ディスプレイバックライト変調に最適な逆パルス位置変調(I-PPM)を発展させる.調光制御が可能な可変PPM (VPPM)とV4PPMのシンボルエラーレートの評価を行い,画像重畳に適した変調方式を発展させる. (4)ディスプレイ映像に重畳されたデータ信号の空間合成技術: セグメンテーションを用いてデータ信号を重畳する変復調技術について,標準画像を用いた追加評価,セグメンテーションを構成するパラメータについての追加評価を行い,提案手法の有効性をより明確にする. (5)フォトダイオード(PD)アレイ受信機による空間合成技術:カメラを用いた空間合成技術を発展させて,LED送信機の位置をカメラにより識別する技術を開発する. LED送信機の位置に合わせてフォトダイオード受信機を追尾する技術に発展させる.
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