研究課題/領域番号 |
21K04048
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21020:通信工学関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
岩井 誠人 同志社大学, 理工学部, 教授 (70411064)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | マルチパスフェージング / 相関距離 / 伝搬特性の局所性 / 無線物理層セキュリティ / アレーアンテナ |
研究開始時の研究の概要 |
無線通信環境において一般的となるマルチパスフェージング環境においては、フェージングによる伝搬特性の変動が高相関となる離隔距離である相関距離以上に離れた遠方地点の伝搬特性の推定は実現困難と考えられてきた。これに対して本研究では、アレーアンテナ構成と到来方向推定技術を応用した信号処理との組み合わせにより、フェージングの相関距離を超えた地点での伝搬特性推定を実現する技術を開発する。実際の環境を想定して推定方式を拡張・補強するとともに、室内実験によりこの方式の実現性を検証する。
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研究実績の概要 |
無線通信環境において一般的となるマルチパスフェージング環境において、相関距離を超えた地点の受信信号推定を実現する技術の開発を行っている。この技術が実現できれば、たとえば、電波伝搬特性に基づく無線セキュリティ技術に対して盗聴を実現する方法の一つとなることから、このような無線セキュリティ技術の盗聴対策や性能向上のためにも本技術は重要である。 本研究では、シミュレーションおよび実験により技術検討を行っている。シミュレーションでは、令和3年度に行った平面波環境における推定特性の確認・評価に続き、令和4年度は球面波環境(実際には二次元環境を想定したことから円筒波環境)における推定技術を検討した。球面波環境において従来方法を用いた場合には、受信強度が低下する遠方からの到来波に対する推定性能が十分でないという問題が生じたが、これに対しては、到来波推定処理の一部を改良することにより推定性能の改善を実現した。また、シミュレーションにおいて、従来は簡易な統計的モデルを用いた評価を行ってきたが、これを、具体的な環境を想定したモデルを用いた評価へと変更した。さらに令和4年度は、本研究で検討する技術が盗聴などの対象とするセキュリティ技術の検討も行った。その一例として空間選択性変調の評価を行った。 また、令和3年度から行っている測定システムの構築を進め、室内環境における実験を開始した。 これらの検討結果をまとめて、学会発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に沿って検討を進めた。今年度は、シミュレーションにおいて、圧縮センシングを用いた球面波環境における推定性能の向上を進めた。球面波環境において従来の平面波環境対応の推定方式を用いると、強度が低下する遠方波源からの到来波が推定できないという課題が生じた。これに対して、昨年度から採用した圧縮センシングのアルゴリズムであるFISTAの削除閾値を推定対象の仮想位置までの距離に応じて変化させる方法を検討し、推定性能の向上を確認した。また、実際のマルチパスフェージング環境は、建物壁面などによる反射波によって構成されることとなる。これまで、対象とする環境は複数の異なる位置の波源から相関がある波が送信されるという仮想的な環境を想定していたが、現実的な伝搬環境の具体例として室内環境を想定しレイトレーシング計算によりマルチパス環境における伝搬路を求めることにより伝搬環境を計算する方法を導入した。この環境における推定の実現およびその性能の評価を実施した。 また、今年度は、攻撃(盗聴)される側の無線セキュリティ技術に関しても検討を進めた。その一例として、複数アンテナから定振幅の正弦波を送信し、その位相を送受信点間のチャネル特性に基づいて制御することにより、正規受信局位置でのみ信号を受信可能とする空間選択制変調方式について、上記のような具体的な環境においてレイトレーシングにより伝搬特性を求めることにより盗聴耐性の評価を行った。 また、実測を実施した。室内環境などにおいて、複数地点の受信信号を測定・記録し、それをオフライン処理することにより遠地点受信信号推定の処理を実現する。第一次の結果として、シミュレーションに沿う結果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、シミュレーションおよび測定による評価を進める。 シミュレーションでは、具体的な環境における推定性能の評価をさらに進める。令和4年度から実施しているレイトレーシングによって構築した伝搬環境において、遮蔽物の配置などによる環境の変化や、推定アンテナ数などのシステムパラメータの変化に対する推定性能の変化を明らかにする。それにより、本研究の目的である「どの程度の距離までの遠地点推定が可能であるのか」を明らかにする。 これまでの推定方法では、到来角度推定は十分な推定精度が得られているものの、距離推定には改善の余地がある。これを改善する何らかの改善対策を検討することが、より遠地点までの推定の実現に際して必要となる。 さらにシミュレーションでは、令和4年度にも実施した、本推定技術が盗聴する対象となる、無線セキュリティ技術についても検討を行う。 これらの特性を確認することを目的として実測をあわせて行う。
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