研究課題/領域番号 |
21K04059
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21020:通信工学関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
藤井 雅文 富山大学, 学術研究部工学系, 准教授 (60361945)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 地球電磁気学 / 電磁波伝搬 / 地表面プラズモン / FDTD解析 / 深層学習 / 短期地震予測 / 地表面プラズマ波 / 地震発生確率 / トリボルミネッセンス / ディープラーニング / 地震 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、遠方からのラジオ放送波の観測をより高精度に行うため、すでに設置している複数の観測設備においてアンテナ設置条件を改善する。それによって得られた観測データをディープラーニングにより地震発生状況と共に解析し、リアルタイムで高精度な地震に関連する信号の検出を可能とする。また、人間には知覚できないようなかすかな信号の検出可能性を探求し、より高精度な地殻活動の探知の可能性を調査する。さらに、地殻活動に関連する電磁波の異常伝搬現象の原理を数値シミュレーションにより明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では、電磁気学、電磁波工学、電子物理化学を基礎とする新しい原理の短期地震予測法を確立することを目標とし、地震の前に地殻の岩盤に圧力が加わることにより内部から膨大な電荷が放出され地上に出現した場合にそれらの電荷が地表面プラズモンとして上空の電波との相互作用により励起され、さらに電波の伝搬にも影響を及ぼす現象について検証している。このような物理現象について、3次元デジタル国土地形データおよび超並列スーパーコンピュータを用いた有限差分時間領域法(FDTD法)による大規模数値シミュレーションにより、理論的検証をほぼ完了した。実験面ではこれまでに、2022年3月16日福島沖M7.4地震においてその直前に異常な電波伝搬を観測したことに引き続き、この度の2024年1月1日能登半島M7.6の地震の直前にも異常な電波伝搬の信号を検出した。能登半島における地震に関しては異常電波信号の様態が他の地震でしばしば観測される例とは異なることが判明した。このことについて現在データを整理している段階である。さらに、これまでの電波観測データを深層学習により解析し、地震の発生状況を同時に学習するプログラムを作成し、複数系列の電波観測データを同時に解析することにより短期の地震予測を可能とするための検討を実施している。本解析では年、季節、日の周期変動に加え、突発的かつ継続的な異常信号とノイズを含む複数の時系列信号を取り扱うことから、解析は相当複雑な信号に対応できる必要があり、周波数スペクトルまたは時間領域の深層学習解析を種々検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数の観測拠点の観測データをリアルタイムで取得し解析できるシステムを用いて、2022年3月16日の福島沖M7.4の地震の直前および2024年1月1日の能登半島M7.6の地震の直前に明瞭な電磁波異常を観測した。そして、3次元デジタル国土地形データおよび超並列スーパーコンピュータを用いて有限差分時間領域法(FDTD法)による大規模数値シミュレーションを行い、山地、河川、海岸などの地形が地表面プラズマ波の伝搬に影響を及ぼし、偏波に依存する電磁波の異常な回折が生じることを示した。さらに、これまでの観測データから異常電波伝搬を予測する深層学習プログラムを作成した。その結果と実際の地震発生状況を比較し、地震の予測の適中率および地震の予測率ともに約60%を可能とすることを確認した。今後は同システムを実時間で稼働するように改良していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでと同様に電波観測を実施し地震発生データとの比較検証を継続する。それと共に新たな電波観測拠点を設置することにより観測データを充実させる予定である。また、深層学習の実時間稼働を目標とし、より正確で柔軟な解析プログラムを開発する。特に、複数の時系列データを多層ネットワークに入力し、地震の発生状況を学習することにより解析精度の向上を図る。
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