研究課題/領域番号 |
21K04073
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21030:計測工学関連
|
研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
船水 英希 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (90516486)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 血液細胞 / ディジタルホログラフィ / 顕微鏡 / フローサイトメトリ / 計測システム / 血液検査 |
研究開始時の研究の概要 |
日本の生活習慣病の患者数は急速に増加しており,脳卒中などの血栓性疾患に関連した血液凝固機能の血栓形成メカニズムの解明,血液凝固特性の高精度な定量化,定期的な凝固検査のための低コストな装置の開発が急務である.本研究では,細胞のリアルタイム立体観察が可能な新規な顕微鏡を実装したフローサイトメトリ法により,血液凝固構造の立体形状を復元し,形状の特徴から細胞識別・分類を行うことで,新規な血液診断基準の創出および血液凝固構造の形成メカニズム解明への新規知見の取得を目指す.また,開業医レベルで導入可能かつ集団検診や在宅健康診断による早期診断・早期発見に最適で低コストな可搬装置の設計・開発を目的とする.
|
研究実績の概要 |
本研究では,広視野かつ非侵襲・非染色にリアルタイム3次元観察が可能なディジタルホログラフィック顕微鏡(DHM)を実装したフローサイトメトリ法により,流路内の血液細胞が回転しながら流れることを利用してコンピュータトモグラフィ(CT)処理を適用し,血液凝固構造の3次元形状情報を完全に復元する.また,復元した凝固構造の3次元形状パラメータの統計データを用いた細胞識別・分類により,新規な血液診断基準の創出および血液凝固構造の形成メカニズム解明への新しい知見の取得および可搬な診断装置の設計・開発を目的としている. 令和4年度では,初年度に構築したDHMを実装したフローサイトメータを用いて取得したホログラム動画の各2次元画像から,流路方向に回転しながら流れる赤血球および血液凝固構造の投影位相分布を計算してCT処理を適用するトモグラフィック・フローサイトメトリ法を実行し,完全な3D形状情報の復元を行った.このCT処理の投影位相を作成する際に,各細胞を追跡する必要があり,3D検出・追跡プログラムを作成した.復元した400サンプルの3D形状情報から,18種の幾何学的な形態パラメータを計算し,それらのヒストグラムを統計データとして取得した.これらの形態パラメータのデータに対して主成分分析と判別分析を適用し,単一の赤血球と血液凝固構造の分類を実行したところ,約88%の正答率で分類可能であることが確認された.,令和5年度では引き続き,各パラメータの相関関係などを考慮した上で分類精度の改善を行っていく予定である. これらの研究成果について,国内の全国大会4件,支部会1件で発表した.また,この研究に関連する研究成果をまとめて,国内論文誌に1編掲載された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
配分予算と研究室の所有物品の関係で購入予定であった物品をいくつか変更したが,初年度および2年度の研究は順調に進んでおり,次年度も申請した通りの計画で研究を進める予定である.
|
今後の研究の推進方策 |
次年度では2年度から実施中の,単一の赤血球と血液凝固構造の18種類の幾何学的な形態パラメータを用いた多変量解析による細胞識別および分類法の確立を目指す.また,本研究で構成した装置および解析プログラムに基づき,小型・簡便・低コスト化が容易な,可搬型の装置設計を行う.
|