研究課題/領域番号 |
21K04074
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21030:計測工学関連
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
桂 進司 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (10260598)
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研究分担者 |
高橋 俊介 東京電機大学, 理工学部, 准教授 (50778967)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ウイルス検出 / 電気集塵 / 静電噴霧 / PCR増幅 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、日常的に環境中の病原菌のモニタリングを行うために、電気集塵技術とマイクロ流体デバイスを利用した高感度・高選択性の微生物・ウイルスの検出を可能にするシステムを構築する。 このシステムでは①電気集塵と静電噴霧を組み合わせることにより微生物・ウイルスなどの試料を油中水溶液滴として回収し、②回収した水溶液滴を対象にエマルションPCRを行い、遺伝子を増幅する。その際、③液滴形成溶液に分子ビーコンを加えておくことにより高感度化、高選択性化を試みる。さらに、④誘電泳動型蛍光解析装置により油中水溶液滴の蛍光量を測定することにより、病原体量を簡便に評価する方法を開発する。
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研究実績の概要 |
今年度は、静電噴霧によりPCR増幅バッファを含む液滴を生成し、その液滴に静電気力により病原体を捕集する方法を試みた。この方法でモデルウイルスの液滴への捕捉と生成した液滴の油相への回収、そして回収液滴の1step RT-PCR増幅により増幅産物を蛍光顕微鏡で検出できることを明らかにした。一方で、静電噴霧により生成された液滴径の単分散性は低く、その点での改良が求められた。 そこで、モデルウイルスを電気集塵によって水相に回収後、膜乳化技術鵜を用いたエマルション生成装置を用いて、回収したウイルスを油中水溶液滴に閉じ込め、その状態でPCRを行い、モデルウイルスを検出する方法を検討した。その結果、エマルジョンの液滴径の単分散性は改善されることが明らかになった。この方法でも、エマルジョンを対象に1step RT-PCR増幅を行ったところ、蛍光顕微鏡を用いて液滴の蛍光を観察することができた。この方法では、エマルジョン生成時の液滴の単分散性は高いと思われるが、PCR増幅過程における液滴の融合は抑えることができず、そのため、ウイルス検出の定量性が悪化することが問題であると考えている。 また、これらの液滴の蛍光強度を検出するための手法として、微小流路とマイクロ電極による誘電泳動を応用することを試みた。流路に直交する形で電極を設置し、高周波電界を印加したところ、微細流路により輸送されてきた油中水溶液滴が電極付近で捕捉され、電極付近に液滴を集め、そこで増幅された試料を含む液滴を観察することが可能になった。従来の基板上での顕微鏡観察では一カ所での観察にとどまっているため、顕微鏡において視野を変えて、蛍光ポジティブな液滴を探索する必要があったが、この方法では流路上でPCR産物を含む液滴を多数、捕捉し、電極近傍に集積することが可能なため、高感度、定量的な測定が容易になることが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、静電噴霧による液滴形成法と膜乳化の方法の2つを試みたが、いずれの方法を用いてもddPCRを行った後は、単分散な液滴が得られていない。それは、液滴同士の融合が頻繁に生じているためと考えられるため、この点の改善が求められる。
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今後の研究の推進方策 |
液滴の融合を抑制するために、ナノ粒子を添加したピッカリングエマルジョン、そして、食品のエマルジョン構造を安定化している食品由来の両極性分子(現在、大豆レシチンを検討中)を添加することを検討している。また、静電噴霧の代わりにインクジェットノズルを用いた液滴散布法を検討したいが、そのためのドライバーは既に作成しており、液滴が生成されていることは確認している。引き続き、生成された液滴によるddPCRが可能かどうかの検討を進め、病原体回収・PCR増幅システムとの組み合わせについて検討を進めたい。
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