研究課題/領域番号 |
21K04093
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21030:計測工学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木下 勝之 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (80325240)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 非破壊評価 / 電気伝導率テンソル / 透磁率テンソル / SUS316鋼 / SUS216鋼 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,燃料電池,水素ステーションや原子力発電所といったエネルギー機器にとって非常に重要な材料であるSUS316鋼の電気伝導率および透磁率テンソルを推定し,転位密度の増加,マルテンサイト相の発生,マイクロクラックの発生と進行していく疲労過程をモニタリングできるシステムを開発することを目的とする.特に,電気伝導率・透磁率テンソルから転位密度,マルテンサイト相の体積分率やアスペクト比,き裂密度やそのアスペクト比といった材料内部の構造変化に関する情報への変換システムの構築をメインに研究を行っていく.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,SUS316鋼の電気伝導率と透磁率テンソルを推定することによって,その疲労劣化過程をモニタリングできる計測システムを開発することである.目的を実現するために以下の研究を行った. ①走査型コイルインピーダンス計測システムの構築:コイルインピーダンスの多点測定を行うため,xyz軸ステージを用いた走査型コイルインピーダンス計測システムを製作した.さらに,これまではカバーグラスを用いてリフトオフ距離を制御していたが,多点測定では用いることができないため,非接触でリフトオフ距離を制御する方法を開発し,精度の評価を行った.その結果,繰り返し精度に関してはほぼ従来法と同じ精度で計測可能であることがわかったが,正確度に関してはz軸ステージの分解能に起因する誤差が生じることがわかった. ②機械的特性の計測:曲げ疲労試験および引張試験を行うSUS316鋼試験片を作成し,機械的特性と疲労寿命を調査した.疲労試験片は溶体化処理のみ行った試験片と電解複合研磨により表面研磨した試験片を用いた.その結果,電解複合研磨を行った試験片の方が行わない試験片よりも疲労寿命が20%向上した. ③SUS316鋼の転位密度の計測:SUS316鋼試験片に平面曲げ疲労試験機を用いて,繰り返し変形を与え,X線プロファイル計測を行った.実験条件としては,平行ビーム光学系にてCu波長(45kV,200mA)とした.その結果,今回の計測で用いた計測条件では,ノイズ成分が大きく,分解能が低いため正確なラインプロファイル解析が行えないことがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
使用予定であったX線計測装置が,故障により数か月使用できなかったため実験条件が詰められず計画に遅れが生じた.
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今後の研究の推進方策 |
①走査型コイルインピーダンス計測システムの構築:今年度の研究により多点測定でも行えるリフトオフ制御方法を確立できたが,Z軸ステージの分解能に依存する誤差が生じた.そこで,より高分解能なZ軸ステージを導入し,計測装置の改良を行う.さらに走査型コイルインピーダンス計測システムのための,電気伝導率分布推定システムの開発も行う. ②SUS316鋼の転位密度の計測:平面曲げ疲労試験機を用いて繰り返し変形を与えた試験片について,X線プロファイル解析によって,転位密度や転位配列を計測し,電気伝導率との関係を定式化する. ③透磁率と電気伝導率を同時に推定するシステムの開発:本年度の①の研究により,試験片の透磁率がインピーダンスの誤差要因になることがわかった.そこで,電気伝導率だけでなく透磁率も同時に推定する手法を開発し,誤差の低減とマルテンサイト相分率の評価も併せて検討する.
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