研究課題/領域番号 |
21K04105
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21040:制御およびシステム工学関連
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
小林 泰秀 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (50272860)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | H∞制御系設計に基づく模擬管路部の構成 / 二入出力系の熱音響コア部に基づく安定性解析手法 / 定常発振制御系の安定性解析と補償器設計手法 / 熱音響システム・シミュレータ / 定常発振制御 |
研究開始時の研究の概要 |
圧力振幅を目標値に保持する定常発振制御に基づき、一端に既知の管路が接続された1入出力系の熱音響コア部に対し、熱音響システムの自励発振周波数と圧力振幅を推定する手法が提案されている。これを発展させ、コア部に接続される管路を模擬する熱音響システム・シミュレータの開発を目指す。すなわち(i)測定管路長の共振特性を理論的に考慮する二次振動系に基づく安定性解析を行い周波数範囲を拡大、(ii)加振周波数の代わりに管路長を掃引することで常に共振を利用し小規模音源で大振幅加振を可能とし、(iii)一端の反射を抑制することで、両側に任意の管路が接続される2入出力系の熱音響コア部に対し、同手法を拡張する。
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研究実績の概要 |
熱音響システム・シミュレータの目的に曖昧な点があることが分かったため(後述する目的iとii)、これを整理すると共に前年度に引き続いてソフトウェア開発を主に進めた。実施計画の項目毎に以下の通りである:1-1.共振掃引型周波数応答計測系(開ループ型)の補償器構成手法の開発:投稿中の論文について、共振周波数においてPIゲインを調整すればその他の周波数でも定常発振制御系が安定となるという経験則に理論的根拠を与える内容に修正し採択された。 2-1.管路長可変音響計測系の改善:③水面を測定管路長の端面とできることを実験的に確認した(定在波型熱音響エンジンの端面を水面で置き換えたシステムが同程度の周波数で発振した)。2-2.熱音響コアの改善:高温側熱交換器のヒータを電圧制御型とすることで圧力変動が低減される効果は限定的であることが分かったため、低温側熱交換器の温度による効果を検討した。 3-2.熱音響システム・シミュレータの開発:発振周波数も含めたシステムの挙動を再現(シミュレート)するために、高温側管路部をコア部に含めた一入出力系について、閉ループ系の周波数応答を管路部のそれに近付けるようにロバスト制御(H∞制御)系設計に基づいて補償器設計を行い、無限長管路及び一端が閉端の有限長管路の模擬管路長に応じて熱音響コアと組み合わせたシステムが実際の発振可否(無限長管路は発振しない)と発振周波数を概ね再現することを実験的に示した。 この他、定常発振制御が従来法(内部モデルに基づく目標値追従制御)よりも長いむだ時間を許容する利点があること、極値探索制御に基づいて熱音響コアの周波数応答計測における進行波音場の能動制御が可能であること、共振周波数を振動源の加振周波数に追従できることを理論的・実験的に明らかにし、第65回自動制御連合講演会において研究発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
シミュレータの目的として[目的i]指定された発振周波数におけるコアの挙動を再現するのか[目的ii]発振周波数も含めて再現するのか曖昧だった。すなわちコアの両側から音源を用いて指定周波数で正弦波加振すればコアはその周波数における応答を示し、それに対応する管路を模擬したことになる(※要検討事項)と考え(目的i)、当初主にこの立場で計画したが、熱音響システムの発振周波数は指定周波数以外の管路部の周波数特性にも依存するため、発振周波数も含めて再現する(目的ii)ためには管路部の周波数応答を模擬する制御系設計を行う必要がある。研究計画の項目3-2「両側の管路を模擬」は目的iiを含んでいるが、当初は明確な認識がなかった。 目的iiに関しては燃焼振動の研究報告があり、正弦波信号の外部入力無しで圧力センサの出力信号を音源の駆動信号にフィードバック制御する構成を採る(同じ構成を共振周波数掃引型周波数応答計測系(閉ループ型)でも用いているが周波数応答計測(目的i)が目的である)。しかしそこでの補償器は、管路部の周波数応答から逆算された仮想的な補償器を近似して得られており、閉ループ系が安定となる保証が無い。そこで前述した通り閉ループ系の周波数応答を模擬対象の管路部に近付けるようH∞制御系設計に基づいて模擬管路部を構成し実験的検証を行った。 さらにループ管熱音響システム等に拡張する場合、管路部が二入出力系となるため、当初計画のようにコアの両側に一入出力系として設計した定常発振制御系を設置するだけでは対応できない可能性がある。すなわち、片方の制御系で進行波圧力成分B1からA1の特性を調整し、他方でA2からB2を調整するだけでは不十分で、B1からB2、A2からA1の経路も実現する必要がある。当初計画の「協調制御則」はこの点を意図しておらず(二つの可調整ゲインを同時に調整する意図)この検討にも時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
前述の[目的i]に関して、まず比較的簡単な一入出力系の場合について「※要検討事項」を検討する。すなわち、(a)音源を指定周波数の正弦波で駆動する場合にその振幅をパラメータとする場合と、(b)圧力センサ出力を指定周波数を選択する狭帯域通過フィルタ、むだ時間、ゲイン倍要素を介して音源を駆動する場合の二つについて、調整可能な管路部の周波数応答(B2/A2)の関係を調べ、指定周波数で臨界発振状態となる管路部の挙動(A2およびB2)を模擬できるか検討する。 次に[目的ii]に関して、ループ管熱音響エンジンを対象として、一入出力系の結果を二入出力系に拡張する。そのためにまず、一入出力系の場合と同様に、模擬対象である二入出力系の管路モデルとの誤差をH∞ノルムで評価できるか検討する。 ハードウェア開発に関しては、2-1.管路長可変音響計測系の改善に関して、測定管路の端面(水面)を上下させる機構の設計・製作、レーザードップラ振動計の導入により2センサ法による粒子速度検出の改善を図るとともに、2-2.熱音響コアの改善に関して、低温側熱交換器に流体の温度計測系を導入し、現有のコアが定常発振時に生じている数十Paの圧力変動との相関を調べるとともに改善を図る。
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