研究課題/領域番号 |
21K04120
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21040:制御およびシステム工学関連
|
研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
山田 学 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40242903)
|
研究分担者 |
仲野 聡史 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30847893)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 制御工学 / ドローン / 車輪型ロボット / 飛行ロボット / インフラ点検 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、高い耐風性能と高精度の目標値追従性能を達成できる車輪型ドローンの機体設計と自動制御システム開発である。構造物に接触飛行する場合、壁面付近に発生する流れや渦や境界層による推力変動など特有の現象が発生するが、その特性解析やモデル化に関する研究はない。本研究では、まず風洞実験に基づき、構造物に接触飛行する場合に発生する特有の外乱を定量的に解析し、明確な数式でモデル化する。つぎにその外乱モデルに基づいて車輪型ドローンの最適な機体設計と高耐風・高精度な位置制御システムを開発実装する。最後にビル壁面の打音点検に応用し、実機による飛行実験で性能を評価実証する。
|
研究実績の概要 |
申請者の発明した「車輪型ドローン(マルチコプタ)」は、壁面や天井などの構造物にドローンを押し付け、接触飛行させることで耐風性能を制御できるという画期的な利点をもつ。本研究の目的は、高い耐風性能と高精度の目標値追従性能を達成できる車輪型ドローンの機体設計と自動制御システム開発である。そして具体的な研究目標は、インフラ構造物(例えばビル壁面)の打音点検システムへの応用(打音点検の自動化)である。そのための具体的な研究課題は以下の①~⑥である。研究課題①「風洞実験による車輪型ドローンに対する風外乱のモデリングとデータベース」、研究課題②「ビル壁面打音点検用車輪型ドローンの最適設計と試作機製作」、研究課題③「空中を安定・安全かつ高精度に飛行できる高耐風最適制御系の開発と実験」、研究課題④「壁に接触し安全かつ高精度に飛 行できる高耐風最適制御系の開発と実験」、研究課題⑤「壁面上で安全に障害物回避できる高耐風最適制御系の開発と実験である」。 2023年度は、以下の(1)~(3)のテーマについて研究を実施し成果を得た。(1)実験実証結果の評価に基づいて、ビル壁面打音点検用車輪型ドローンを再設計し、第2号試作機を製作した(研究課題②)。(2)壁面接触時の衝撃を緩和する車輪型ドローンの外乱抑制制御系を開発し、その有用性を実機による実験検証で実証した(研究課題④)。(3)デジタル制御法を応用して、非ホロノミック拘束を回避する車輪型ドローンの障害物回避制御系を開発し、その有用性を実機実験検証で実証した(研究課題⑤)。 以上のように、実際のビル壁面の実証実験での評価に基づいて、飛行時および接触走行に最適な機体と自動制御系の同時開発を行っており、実用的な成果が期待できる。それらの研究成果は2024年5月の日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会などで発表し広く公開する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は研究3年目であり、以下の(1)~(3)のテーマについて研究を実施し成果を得た。(1)実験実証結果の評価に基づいて、ビル壁面打音点検用車輪型ドローンを再設計し、第2号試作機を製作した(研究課題②)。(2)壁面接触時の衝撃を緩和する車輪型ドローンの外乱抑制制御系を開発し、その有用性を実機による実験検証で実証した(研究課題④)。(3)デジタル制御法を応用して、非ホロノミック拘束を回避する車輪型ドローンの障害物回避制御系を開発し、その有用性を実機実験検証で実証した(研究課題⑤)。 以上のように、実際のビル壁面の実証実験での評価に基づいて、飛行時および接触走行に最適な機体と自動制御系の同時開発を行っており、実用的な成果が期待できる。それらの研究成果は2024年5月の日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会などで発表し広く公開する予定である。以上のように、本研究は実用化に向けて、順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度に実際のビルの壁面で実証実験した結果、ビル壁面は、多様な形状や材質のタイルが使われており、その形状に合わせた打音機構や壁面走行制御の調整が必要であることがわかった。そこで、2024年度の研究計画は、打音検査の実用化を研究目標として、研究課題①~⑥の中で、主に、研究課題②「ビル壁面打音点検用車輪型ドローンの試作機改良」と研究課題④と⑤の拡張として「壁に接触し、高精度な打音検査を行うための高耐風最適制御系の開発と実験」に取り組むことである。 具体的に、研究課題②では、これまでの実証実験結果の評価を踏まえて、さらなる改良機を製作する。また、高精度な打音検査の実現のため、現場のビル壁面のタイル形状から、最適な打音機構や壁面走行制御を調整できるシステムを開発し、数多くのビル壁面での打音実験で評価し、ビル点検業者や有識者などに意見を伺いながら、実用化に必要とされる要件を検討し、実用化に向けて開発を進める予定である。
|