研究課題/領域番号 |
21K04128
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21040:制御およびシステム工学関連
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
向井 正和 工学院大学, 工学部, 准教授 (50404059)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 自動車制御 / 車両挙動予測 / 制御工学 / 自動運転 / 自動車工学 |
研究開始時の研究の概要 |
高度な自動運転の実現のためには,他車両のリアルタイムでの挙動予測が必要である.しかし,挙動予測を行うことのできる統合的なドライバーの数学的モデルは存在しない.本研究は,自動運転システムに適した他車両の挙動予測法を明らかにすることを目的とする.研究する挙動予測法は,最適化問題の評価関数と拘束条件を構成するバリア関数を,ドライバーの運転を特徴付ける関数とする.実データから道路形状と交通状況に合わせて評価関数とバリア関数とを構成する方法を確立し,最適化問題を解くことで予測軌道が得られるアルゴリズムを構築する.
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研究実績の概要 |
本課題は,自動運転システムのために適した他車両の挙動予測法を構築することを目的とする.ここでは,ドライバーは何らかの有限時間の最適化に基づいて運転をしているのではないかという仮説に基づき,他車両のドライバーの運転を特徴付ける関数を明らかにすることを目指した.2年目は道路勾配を含めた問題設定とし,前方車両との車間距離を維持する運転について検討した.高速道路のトンネルや陥没区間は,交通渋滞を引き起こす要因の一つであり,サグ区間では,上り坂を認識できないために先行車の速度が低下し,この速度低下が増幅されて後続車に伝わり,渋滞が発生する.また,制御バリア関数や制御リアプノフ関数を自動車間追従制御(Adaptive Cruise Control, ACC)の制約条件として用いた場合,速度や車間距離が増幅され後続車両に伝播する車両群不安定状態が発生する.そこで,本研究では,制御バリア関数や制御リアプノフ関数を制約条件として用いる場合に,勾配情報を制御に用いることで,混雑解消を考慮した車両群不安定状態の解消方法を提案した.具体的には,自動運転可能な各車両に事前に勾配情報を取得できるセンサーまたはナビゲーションシステムを搭載し,制御バリア関数と制御リアプノフ関数からなる制約条件に取得した勾配情報を追加する.勾配情報を考慮した制約条件を用いて,二次計画問題からなる最適化問題を解くことで,勾配に対応した自動車間追従制御を構築することができた.計算機シミュレーションにより,勾配情報を用いた制御と用いない制御との比較を行い,勾配情報を用いた制御手法の方が車間追従の性能が高く,問題が起きないことを確認できた.この制御アルゴリズムを,ドライバーの運転予測モデルとすることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前方車両との衝突を見積もるバリア関数の設計を行い,道路勾配もふくめた自動車間追従アルゴリズムを作成し予測モデルを作成することができた.ドライバーの有するバリア関数の予測精度の課題があるが,前年度の道路形状のパラメータを使用してシミュレーションも実施することができているため概ね順調であると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
今後は達成できた課題の結果を生かして次の課題に取り組みたい.1.道路交通情報から挙動予測を行う手法の構築: 道路勾配を含めて拡張した予測アルゴリズムを用いてドライバーの挙動予測の検証を行う.2.交通流シミュレータを用いた検証: 交通流シミュレータを用い,現実の道路データを反映させて道路環境を作成し,シミュレーションを実施して効果を確認する.さらに車両挙動の実測データを収集して,入力することで構築した予測アルゴリズムを実装する.車両挙動の実測データと提案予測アルゴリズムの結果を比較することで,予測できる時間区間,予測精度を明らかにする.
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